2020年に東京で開催される五輪・パラリンピックの準備・運営の主体となる「東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会」が発足し、24日に第1回評議会、理事会が都庁で開かれた。組織委の会長には、日本体育協会名誉会長を務める森喜朗元首相が就任。実務面を担当する事務総長には、財務事務次官や日本銀行副総裁を歴任した大和総研の武藤敏郎理事長が就いた。その他の4人の理事には、日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恆和会長、東京都の秋山俊行副知事らが選任された。理事会後の会見で、森会長は「スポーツ界、東京都、政府関係者だけではなく経済界や全国の自治体、関係団体の方にも協力を仰ぎ、招致活動で築いた以上のオールジャパン体制を作ってまいりたいと思います」と意気込みを語った。
 五輪・パラリンピック招致決定から138日が経過したこの日、組織委員会が設立した。そのトップを務める森会長は「組織委員会の円滑な設立は日本が招致活動において、“2020年に素晴らしい大会を確実に開催する”と宣言してきた最初の公約です。本日、JOC、JPC(日本パラリンピック委員会)、東京都、政府の代表者と共に皆様の組織委員会設立を発表できることを大変うれしく思っております。一方、組織委員会が背負っている大きな責任を考えますと、大変身が引き締まる思いであります」と就任挨拶を述べた。

 約50人体制で始動する事務局は、6年間で約3000人のスタッフ、約8万人のボランティアを束ねる組織となる。森会長が「政府に例えるなら副大臣級の職責」と評した事務総長のポストには、政財界に太いパイプを持つ武藤氏が就任した。武藤事務総長は「この任務を果たしていくことに、大きな責任を感じております」と語り、「大会成功に向けて、準備を推進していくことは大変チャレンジングな任務であります。6年あると慢心することなく尽力していきたい」とコメントした。

 2月9日には、招致委員会の会長を務めた猪瀬直樹前都知事の辞任を受け、都知事選が行われる。各候補によっては準備や開催にする予算を縮小することだって有り得る。それについて森会長は「日本と世界の約束事。政治に動かされることがあってはならない」と言う。「東京開催を進めたのは石原(慎太郎)さん。それを継いだ猪瀬さんによって招致の決定もできた。東京都知事が企画し、世界に向けて発信をし、オリンピック・パラリンピック開催を獲得したんです。どなたが当選されても、東京大会のために先頭切っていただきたい」。開催都市のトップとしての、リーダーシップを大会開催に向けても期待した。

 森会長は来年喜寿を迎え、大会開催時には83歳。その体調面を心配する声もあるが、森会長は「自分のぎりぎりの可能性に挑戦していくのが、スポーツの真髄」と意に介す様子はない。スタートしたばかりの組織委員会。大会開催には資金面などまだクリアされていない課題もある。国内での理解も今以上に深めていく必要もあるだろう。「まだ6年あるんじゃなく、6年しかないんだと思っています。ひとつひとつ、しっかりと階段を上るようにしてやっていきたい」と語る森会長をはじめとした組織委に、求められることは少なくない。

(文・写真/杉浦泰介)