2日(現地時間)、サッカーロシアW杯決勝トーナメント1回戦の日本代表対ベルギー代表の一戦がロストフで行われた。試合は2対3で日本が逆転負けを喫した。後半3分にMF原口元気のゴールで日本が先制し、7分にはMF乾貴士のミドルシュートで追加点を奪う。しかし、24分にベルギーのDFヤン・ベルトンゲン、29分にはMFマルアヌ・フェライニのヘディングで同点に追いつかれると、後半アディショナルタイムにカウンターからMFナセル・シャドリに逆転ゴールを決められ、惜敗した。

 

 組織で戦うが一歩及ばず(ロストフ)

日本 2-3 ベルギー

【得点】

[日] 原口元気(48分)、乾貴士(52分)

[ベ] ヤン・ベルトンゲン(69分)、マルアヌ・フェライニ(74分)、ナセル・シャドリ(90+4分)

 

 日本は初のベスト8進出をかけてFIFAランキング3位のベルギーに挑んだ。

 

 前半1分、MF香川真司がペナルティーエリア手前右サイドから左足でミドルを放つ。7分にはMF柴崎岳から左サイドのMF乾貴士へスルーパスが通る。乾はグラウンダーのクロスを入れるが、ベルギーにはね返された。

 

 すると、今度はピンチを迎える。16分にはFWエデン・アザールに左足ミドル、21分にはFWロメル・ルカクに右足ミドルを放たれるが、日本は体を張ってブロック。25分にはFWドリース・メルテンスに日本の左サイドからクロスを入れられる。これにDF吉田麻也とルカクが反応するが2人がもつれ、ボールがこぼれる。ルカクに押し込まれそうになったがGK川島永嗣が防いだ。

 

 28分、日本は左サイドからチャンスを作る。香川がペナルティーエリア左でキープしてヒールで流す。オーバーラップしたDF長友佑都がファーにクロスを送ると、乾がヘッド。シュートは枠を捉えたがベルギーGKティボー・クルトワに阻まれた。

 

 36分にはアザールにミドルを打たれるが吉田がブロック、前半アディショナルタイムにはメルテンスにミドルを見舞われるが川島がキャッチして難を逃れた。

 

 後半に入ると最初に流れに乗ったのは日本だった。3分にカウンターからゴールを奪う。自陣で乾がボールを奪い、柴崎へ預ける。前を向いた柴崎は右サイドを走るMF原口元気に鋭いスルーパスを供給する。原口はこのパスに追いつくとペナルティーエリア右から右足でシュートを放った。これがゴール左に決まり、日本が待望の先制点を決めた。

 

 そのわずか4分後だった。相手のペナルティーエリア手前で香川から乾にパスが渡る。乾が相手の隙を逃さず右足でミドルを放つとゴール右に吸い込まれた。強豪相手にW杯の舞台で2点をリードした。

 

 だが、ここからベルギーが本気になった。敵将のロベルト・マルティネスは20分、身長194センチのフェライニと187センチのシャドリをピッチに送り込む。日本はパワーに押され始め24分、失点を喫する。自陣ペナルティーエリア内で乾が大きくクリアーをしようとするが、ミスキックとなる。空中に上がったボールをベルトンゲンにヘディングでされ、川島の頭を越えてゴールネットを揺らされた。

 

 日本は勢いづくベルギーを止められない。29分には日本の右サイドからクロスを入れられると、フェライニに頭で叩きこまれ同点。そして、後半アディショナルタイムだった。日本の左CKを相手GKにキャッチされ、近くのMFケビン・デ・ブルイネにスローインでつなげられ、カウンターを受ける。ドリブルで一気に日本自陣に攻め込まれ日本の左サイドにポジションを取るDFトーマス・ムニエにパスが通る。ムニエに中央に折り返されると、警戒していたルカクがスルー。ファーサイドに詰めていたシャドリに押し込まれ逆転ゴールを決められた。

 

 すぐに試合を再開したが、無情にもタイムアップの笛がなった。日本はベルギーに一時2点をリードしながら、逆転を許しベスト8進出はならなかった。

 

 キャプテンの長谷部誠は試合をこう振り返った。

「整理する時間が必要。2点を先行しながら逆転されたのは実力不足だと思う。言葉を選ぶのが難しい。相手が前がかりになり、耐えてカウンターを狙ったが不用意なボールの取られ方をしてしまった。受け身にならず積極的にやろうとしたが、試合運びの甘さが出たと思います」

 

 先制点を決めた原口は目を赤くしながら「このチームでもっと前に進みたかった」と語り、こう続けた。

「ここで終わるのが悔しい。相手が圧力をかけてきて、耐えきれなかった。チームとしても個人としても一歩足りなかったと思います。ベスト8にいけると信じてやっていたので悔しいが、ここから立ち上がって、この壁を越えられるように頑張る」

 

 日本は“未知の領域”だったベスト8進出を目標に戦ってきた。勝利まであとわずかだったが、手が届かなかった。この差は次の4年間で埋まるのか。この経験を肥やしに4年後には花を咲かせて欲しい。

 

(文/大木雄貴)