日本はベルギーに敗れ、初のベスト8進出とはならなかったが、W杯はまだまだ注目カードが目白押しだ。決勝トーナメント1回戦の第4日目はスウェーデン対スイス、コロンビア対イングランドの対戦カード。欧州予選プレーオフを制して勝ち上がってきた堅守のスウェーデンが本大会でも勢いに乗っている。格上スイスに下剋上を果たす可能性は高い。日本とグループリーグ(GL)で同組だったコロンビアはイングランドとの対戦だ。速攻も遅攻も自在に操るコロンビアが優勢と見る。

 

スウェーデン(F組1位)vs.スイス(E組2位)

 

 メキシコ、韓国、ドイツと同組だったスウェーデン。ドイツの不調もあったが、このグループを首位で通過したのは見事だ。個々のファイティングスピリットと組織的な守備でイタリアとのプレーオフを制してヨーロッパ予選を勝ち上がってきただけに、劣勢に立たされても我慢強く戦えるのは強みだろう。

 

 それだけではない。GLの戦いを通じ攻撃のかたちも確立した感がある。キーマンは左MFエミル・フォシュベリ(ライプツィヒ)だ。ドイツ・ブンデスリーガでアシスト王にも輝いた経歴もある彼がスウェーデンのカウンターに変化を加えて、相手DFを混乱させている。

 

 一方のスイスは不安要素がある。4バックの主に右センターバックをつとめるファビアン・シェア(デポルティボ)と右サイドバックのシュテファン・リヒトシュタイナー(ユベントス)が揃って出場停止となるからだ。2列目右サイドから比較的自由に動くジェルダン・シャキリ(ストーク)の後方を支える2人の不在の穴を埋めるのは容易ではない。

 

コロンビア(H組1位)vs.イングランド(G組2位)

 

 この一戦はコロンビアが優勢か。GL初戦でコロンビアは日本に黒星を喫したものの、結局は予想通り首位通過を果たした。

 

 GL最終節にMFハメス・ロドリゲス(バイエルン)が負傷退場し、出場は不透明だがさほど心配はない。MFフェルナンド・キンテーロ(リーベル)が十分に穴を埋めるはずだ。

 

 キンテーロの左足はコロンビアの大きな武器となっている。日本戦でも壁下を抜く直接FK弾を披露した。GLでは負傷がちのロドリゲスに代わりキンテーロがチームの司令塔として機能していた。

 

 右サイドのMFファン・ギジェルモ・クアドラード(ユベントス)もこのチームのキーマンだ。爆発的なスピード、キレのあるフェイントで相手守備網に穴を開ける。GL2節のポーランド戦で決めたゴールは爆発的なスピードを生かしてのものだった。たとえイングランドに押し込められる時間が長かろうとも、クアドラード1人でボールを前線に運べるのは大きな武器である。

 

 一方のイングランドは最終節に大幅にメンバーを入れ替えて休養は十分。だが、結果的にエースFWのハリー・ケイン(トッテナム)が不在だとゴール前の迫力不足になることを露呈してしまった。コロンビアが攻撃に人数を割いた裏のスペースを素早くつけるかが、イングランドが勝つためのポイントとなりそうだ。

 

(文/大木雄貴)