29日、Jリーグは3月9日に開幕するJ3リーグの概要をJFAハウスで発表した。明治安田生命保険相互会社がタイトルパートナーとして特別協賛社となり、「スカパー!」と2014シーズンから3年間のJ3の放送権契約について合意したことも発表した。会見には大東和美Jリーグチェアマン、原博美JFA専務理事兼技術委員長、「Jリーグ・U−22選抜」の高畠勉監督らが出席。会見後にはJ3クラブの代表者も加わってのフォトセッションが行われた。
「Jリーグの大きな3つの成長戦略のひとつ」
 大東チェアマンは、J3の位置づけをこう語った。99年にJ2が創設され、15年後の今年、J3が始まる。「J3の創設はまさに(Jリーグ)百年構想を具現化する施策」とチェアマンは強調した。

 初年度は11クラブとU−22選抜チームの体制でスタートする。その中で注目されるのがU−22選抜だ。16年リオデジャネイロ五輪を目指す世代を強化することが目的で、92年1月1日以降に生まれた日本国籍所有の選手で構成される。ホーム会場は有さず、試合はすべてアウェーで戦う。これについて原専務理事は「リオ五輪のアジア予選はセントラル方式かつ一発勝負で行われる。だから、U−22選抜もあえて厳しい環境で試合をさせるという意味合いもある」と説明した。

 U−22選抜はJ1またはJ2クラブに所属する選手の中から登録させる選手を選出し、当該選手の所属元クラブに同意を得たのち、Jリーグに届け出る。第1登録期間は1月3日〜3月28日、第2登録期間は7月18日〜8月15日となっている。登録選手は、普段は所属クラブでトレーニングし、試合ごとに選出された16人が毎週金曜日夜に集合。土曜日にU−22選抜としてトレーニングを行い、日曜日のリーグ戦に臨む。所属クラブでベンチ入りできなかった選手を招集し、実戦経験を積ませる。そしてJ3で結果を残し、所属クラブでの出場機会につなげることが狙いだ。

 高畠監督は川崎フロンターレで監督、コーチを歴任。現在はU−21日本代表のコーチも務めている。
「この年代の強化が重要だと常々考えていた。サテライトリーグがあった時は良かったが、サテライトリーグがなくなった今、この年代の強化は最重要課題。J3リーグを立ち上げるにあたって、このチームの存在意味、意義をひしひしと感じている」
 高畠監督は就任の感想をこう述べた。そして「最大の目的はリオにつなげること。ベースは手倉森(誠)U−21日本代表監督の戦術やコンセプトになる。私は個人の能力をしっかり引き出して、個人戦術を伸ばしていけるように、そしてそれがチームとして機能するようにやっていきたい。やるからには初代チャンピオンを目指す」と抱負を語った。
(写真:「J3に参加される方々と真剣勝負をして、リーグを盛り上げていきたい」と語るU−22選抜・高畠監督)

 原専務理事によると、U−22選抜は「世界のどこもやっていないシステム」だという。それだけに、会見では多くの質問がU−22選抜に関するものだった。リーグ戦でも、U−22選抜の試合には大きな注目が集まるに違いない。

 そんな注目チームにJ3クラブも対抗心を燃やしている。元日本代表でSC相模原の望月重良代表取締役は「会見もU−22のことばかりで、我々が脇役みたいな感じになっている(苦笑)。ただ我々も上を目指してやってきた中で、そのコンセプトというものを忘れずに結果を残す。勝つことを意識して1年を戦っていきたい」と意気込んだ。
(写真:SC相模原・望月代表は「サッカーを通じて、相模原という街をPRしていきたい」と語った)

「J3には様々なJリーグのチャレンジが含まれている。全国へのJクラブの拡大というチャレンジ、各クラブにとって地元スポーツ文化の浸透と経済活性化へのチャレンジ、そして全国の多くの人たちに夢や楽しみを届けるチャレンジ、若者の挑戦を促すJリーグ・アンダー22選抜チームの創設というチャレンジ。このような夢をのせて、J3は船出します」

 大東チェアマンはスピーチの最後にこう述べた。様々な“チャレンジ”に彩られたJ3は、3月9日に産声をあげる。

2014 明治安田生命 J3リーグの主な概要は以下の通り

【大会方式】
3回戦総当りリーグ戦(ホーム&アウェイ + ホームorアウェイ) 全33節/198試合

【開催期間】
3月9日(日)〜11月23日(日・祝)

【試合会場】
原則として各クラブのホームスタジアム
※Jリーグ・アンダー22選抜はホームゲームを開催せず、対戦チームのホームゲームとして試合を行う。

【試合エントリー】
1チーム16名以内 (外国籍選手は2名まで。ただし、Jリーグが別途「Jリーグ提携国」として定める国の国籍を有する選手* 1名に限り、追加エントリー可)

【選手交代】
試合中の選手の交代は5名以内。

【J2からJ3への降格】
J2は下位2チーム(21位、22位)が降格対象となる。J2の22位チームは自動降格となり、21位チームは入れ替え戦を戦う。

【J3からJ2への昇格】
J3は上位2チームを昇格対象とする。J3の1位チームは自動昇格し、2位チームは入れ替え戦を戦う。
※いずれもクラブライセンス審査を受け、J2ライセンスが付与されていることが前提。

開幕カード組み合わせ

3月9日(日)
FC町田ゼルビア × 藤枝MYFC(町田)
Y.S.C.C.横浜 × ブラウブリッツ秋田(ニッパ球9
SC相模原 × ツエーゲン金沢(ギオンス)
ガイナーレ鳥取 × グルージャ盛岡(とりスタ)
AC長野パルセイロ × 福島ユナイテッドFC(未定)
FC琉球 × Jリーグ・U−22選抜(沖縄県陸)

(写真・文/鈴木友多)