いよいよ8強が出揃ったサッカーロシアW杯。フランス、ウルグアイ、ロシア、クロアチア、ブラジル、ベルギー、スウェーデン、イングランドの顔ぶれとなった。まずベスト4をかけて戦うのは、フランスvs.ウルグアイ、ブラジルvs.ベルギーだ。ここは戦力充実のフランスとブラジルが優位と見る。

 

 フランスvs.ウルグアイ

 

 アルゼンチンとの激しい打ち合い(4対3)を制したフランスと、クリスティアーノ・ロナウド擁するポルトガルを2対1で破ったウルグアイの対戦。順当に行けばフランスが勝ち上がるだろう。

 

 今大会のフランスは個と組織のバランスが非常によい。1回戦で2得点と活躍した19歳のFWキリアン・エムバペ(パリ・サンジェルマン)の爆発的なスピードが目立ったが、彼の周りを固めるメンバーも一流である。

 

 エースのFWアントワーヌ・グリーズマン(アトレティコ・マドリード)はこれまでPKの2得点だけとはいえ、相手のセンターバックとボランチの間のスペースに入り込み、チャンスメークをきっちり果たしている。1トップを任されるFWオリビエ・ジルー(チェルシー)も屈強なセンターバックを背にしてタメを作るなど、サポート役を見事にこなしている。

 

 対するウルグアイには懸念材料がある。ポルトガル戦で2ゴールと気を吐いたものの、負傷交代を余儀なくされたFWエディンソン・カバーニ(パリ・サンジェルマン)の状態だ。彼とFWルイス・スアレス(バルセロナ)の二枚看板がウルグアイの最大の武器。カバーニが出場できないとなるとダメージは大きいだろう。

 

 FWの控えにはラ・リーガで21得点を記録したクリスティアン・ストゥアニ(ジローナ)と17得点のマキシ・ゴメス(セルタ)が控える。2人も個々の能力は申し分ないが、連係面を考えるとやはりカバーニが抜ける損失は大きい。

 

 準々決勝1試合目は、フランスが20年ぶりの優勝に向けて前進するだろう。

 

 ブラジルvs.ベルギー

 

 こちらの一戦はブラジルが優勢だろう。

 

 ブラジルは1回戦、メキシコを相手に試合巧者ぶりを見せつけて勝利した。序盤こそ攻め立てられたが、DFミランダ(インテル)、DFチアゴ・シウバ(パリ・サンジェルマン)、MFカゼミーロ(レアル・マドリード)を中心に跳ね返す。

 

 そして、後半に入ると、MFウィリアン(チェルシー)との鮮やかな連係からFWネイマール(パリ・サンジェルマン)が先制弾を決めた。メキシコが前がかりにならざるを得ない展開になると前述した3人の卓越した読みとポジショニングが冴え渡る。ことごとくメキシコのパスをカットし、ネイマール、ウィリアンにシンプルにボールを預ける。あとはこの2人が得意の個人技を披露し、前線までボールを運んでいった。

 

 追加点も焦るメキシコをあざ笑うかのようなカウンターから奪った。メキシコからボールを奪うとネイマールに預ける。そのままネイマールが左サイドを突破すると、途中出場のFWロベルト・フェルミーノ(リバプール)が押し込んだ。リードするチームのお手本のようなかたちである。グループリーグ初戦こそ足取りが重かった。だが、強豪国らしく尻上がりに調子をあげてきたブラジルが準決勝に駒を進めるのではないか。

 

 ベルギーは1回戦、日本を相手に苦戦を強いられた。日本が決めた先制点、ベルギーのウィークポイントをついたかたちだった。左ウイングバックのヤニク・カラスコ(大連一方)は攻撃色の強い選手。彼の攻守のアンバランスさはブラジルの格好の餌食となってしまいそうだ。

 

 それでも攻めきれれば問題はない。だが、カラスコと対峙するのは速さと個人技を有するウィリアンだ。ウィリアンが崩し、ネイマールやFWガブリエル・ジェズス(マンチェスター・シティ)がフィニッシュ。こんな展開にならないよう、ベルギーがどのような戦いを見せるのかにも注目だ。

 

(文/大木雄貴)