6日(現地時間)、サッカーロシアW杯準々決勝のベルギー代表対ブラジル代表の一戦がカザンで行われた。試合は2対1でベルギーが勝利した。前半13分、ベルギーが相手のオウンゴールで先制に成功すると、31分にはMFケビン・デ・ブルイネが追加点を決めた。後半31分にブラジルのMFレナト・アウグストに1点返されるがベルギーが逃げ切った。

 

 ブラジル、チッチ体制で初の複数失点(カザン)

ベルギー 2-1 ブラジル

【得点】

[ベ] オウンゴール(13分)、ケビン・デ・ブルイネ(31分)

[ブ] レナト・アウグスト(76分)

 

 赤い悪魔のベルギーとサッカー王国のブラジルが準々決勝で対戦した。優勝候補同士の対決だけあって見ごたえのあるゲームだった。

 

 8分、最初にチャンスをつくったのはブラジルだった。左CKからFWネイマールがニアにクロスを入れる。DFミランダが頭でコースを変えるとゴール中央でDFチアゴ・シウバが右太ももに当てるがボールは左ポストに嫌われた。

 

 13分、ベルギーがラッキーなかたちで先制する。左CKをキッカーのMFナセル・シャドリがニアに蹴る。DFヴァンサン・コンパニが頭ですらしたボールがブラジルのMFフェルナンジーニョの右肩に当たり、ゴールに吸い込まれた。

 

 続いて31分、日本人にとって、既視感のあるかたちがこの試合でも見られた。ベルギーはCKのピンチを脱するとFWロメル・ルカクがセンターサークル付近からドリブル突破。敵を引きつけると右サイドのデ・ブルイネにボールが渡る。パスコースがないと判断するとデ・ブルイネは右足を振りぬく。低く速いシュートはゴール左に突き刺さった。日本がハマったカウンターがブラジル相手にも発動した。

 

 前半のうちに1点でも返したいブラジル。36分にはDFマルセロの左からのクロスにFWガブリエル・ジェズスがヘッド、39分にはMFフェリペ・コウチーニョが得意の左サイドから右足でカーブをかけたシュートを放つが得点には至らずに試合を折り返した。

 

 後半、ブラジルは右ウィングのウィリアンを下げて、FWロベルト・フェルミーノを投入。フェルミーノとネイマールが2トップを組む4-4-2のフォーメーションに変えてきたが、ベルギーはサイドをやられても中央を固めた守備で応戦した。

 

 ベルギーはブラジルの攻撃をよく跳ね返していたが、徐々に重心が後ろに下がる。すると31分、ベルギーはブラジルに一瞬の隙をつかれた。MFフェリペ・コウチーニョのマークを緩めてしまう。するとゴール前に浮き球のパスを送られる。このボールを2列目から飛び出してきたレナト・アウグストに頭で決められた。

 

 失点を喫したベルギーだったが、ここからきっちりと修正した。守備に人数を割き、ボールを奪ったらシンプルに前線に残したMFエデン・アザールに預けた。アザールはテクニックとスピードを駆使してボールをキープ。うまくボールと相手DFの間に体を入れてファウルをもらうなど、時計の針を進めた。

 

 終了間際にはネイマールに際どいシュートを放たれたが、ベルギーのGKティボー・クルトワが右手を精一杯伸ばしてボールをはじき出し、1点のリードを守り切りベスト4に駒を進めた。

 

 本来、CKはピンチである。だが、ベルギーにはピンチを最大のチャンスに代えてしまう高速カウンターがある。日本だけでなくサッカー王国相手にもこのかたちで得点を奪って見せた赤い悪魔が32年ぶりにベスト4に名乗りを上げた。

 

(文/大木雄貴)