7日(現地時間)、サッカーロシアW杯準々決勝のクロアチア代表対ロシア代表の一戦がフィシュトで行われた。試合は2対2の同点で、PK戦の末、4対3でクロアチアが勝利した。前半31分にMFデニス・チェリシェフのゴールでロシアが先制したが、39分にFWアンドレイ・クラマリッチのゴールでクロアチアが同点に追いついた。試合は延長戦に突入し、延長前半11分にDFドマゴイ・ビダが決めてクロアチアが逆転。しかし延長後半10分にDFマリオ・フェルナンデスが頭で決めて同点に追いついた。PK戦では先攻のロシアが3人成功したのに対し、後攻のクロアチアが4人成功した。

 

 開催国・ロシアも大健闘!(フィシュト)

クロアチア 2-2 ロシア

   (PK -3)

【得点】

[ロ] アンドレイ・クラマリッチ(39分)、ドマゴイ・ビダ(101分)

[ク] デニス・チェリシェフ(31分)、マリオ・フェルナンデス(115分)

 

 序盤からクロアチアが圧倒的にボールを支配した。だが、地元のロシアは大声援を背に受けて勇敢に戦いゴールを守った。クロアチアにボールは回されたものの、決定機をつくらせなかった。

 

 31分、ロシアの我慢が実を結ぶ。チェリシェフが中央やや左サイドからFWアルテム・ジュバとのワンツーでペナルティーエリア手前まで距離を縮める。するとここからチェリシェフは左足のインフロントにかけたシュートを放つ。ボールは美しい弧を描きながらゴール右隅に突き刺さった。

 

 しかし、クロアチアが目を覚ます。39分だった。FWマリオ・マンジュキッチが左サイドを突破し、ニアにクロスを上げる。これにクラマリッチが頭で合わせて同点に追いついた。

 

 後半に入ると最初にギアを上げたのはクロアチアだった。5分にMFルカ・モドリッチのミドル、7分にはクラマリッチがオーバーヘッドでゴールを狙うがゴールには至らなかった。ロシアは跳ね返すのが精いっぱいとなってしまったが、クロアチアの決定力不足に助けられた。

 

 32分にはクロアチアが右CKからマンジュキッチがヘディングでゴールを狙うが枠を捉えられなかった。このままのスコアで90分が終了。両チームとも2試合連続の延長戦に突入した。

 

 延長前半11分、クロアチアに大きなゴールを生まれる。右CKをモドリッチが中にクロスを入れた。ゴールからは少々遠ざかった位置からビダが頭で合わせた。ボールは力なくゴール前でワンバウンドしたが、ロシアGKのイゴール・アキンフェエフが反応できずゴール右隅に吸い込まれた。クロアチアに歓喜の瞬間が訪れ、このまま試合は終わるはずだった。だが、ロシアが地の利を生かし、最後の力を振り絞る。

 

 延長後半10分、ペナルティーエリア外の右サイドでFKを得る。キッカーは途中からピッチに入ったMFアラン・ジャゴエフ。ゴール中央にクロスを送るとこのボールにどんぴしゃりのタイミングでフェルナンデスが合わせてゴール左に決めて、勝負の決着はPK戦にもつれ込んだ。

 

 先攻はロシア、後攻はクロアチア。ロシア1番手のFWフョードル・スモロフのタイミングを外した緩いキックをクロアチア守護神ダニエル・スバシッチが左手で止めた。

 

 するとロシアの守護神アキンフェエフも見せ場を作った。クロアチア2番手のMFマテオ・コバチッチのキックを左に飛んで見事にセーブ。

 

 勝負の分かれ目は3番手だった。ロシアのキッカー、フェルナンデスがゴール左に外してしまった。この後、全てのキッカーが成功し、PKのスコアは4対3。クロアチアが僅差で勝利を手にした。

 

 ボールを支配して攻め立てるクロアチアも素晴らしかったが、開催国ロシアの粘りも素晴らしかった。“史上最弱のホスト国”の汚名を返上する素晴らしい勇姿を見せて、大会を盛り上げた。

 

(文/大木雄貴)