決勝の対戦カードは20年ぶりの優勝を狙うフランスと、初優勝を狙うクロアチアとなった。

 

 順当にいけば、自力で勝るフランスが世界の頂点に君臨するだろう。コンディション面に関してはフランスが明らかに有利だ。フランスはクロアチアよりも1日休みが多い。加えて、前者は全て90分で勝負のかたをつけてファイナルの舞台に駆け上がってきた。

 

 フランスは準々決勝まで順調に白星を重ねてきたが準決勝は、そう簡単にはいかなかった。3バックと4バックを試合中にスイッチさせるベルギーには手を焼いた。ボール保持率はわずか39%だった。それでもシュート数はフランスが18本、ベルギーが9本。枠内シュートもフランスが5本でベルギーが3本だった。

 

 今大会、フランスを推し続けた理由がここにある。試合の流れが自分たちに吹いていなくとも、勝ちきれる。ポゼッション良し、カウンター良し。状況に合わせて自在に戦い方を変更できるのがフランスの強みだ。

 

 ベルギーに押し込まれた時間帯はエースのFWアントワーヌ・グリーズマンやFWオリビエ・ジルーも守備に加わった。流れが悪くてもセットプレーで得点し、しぶとく勝った。

 

 一方、クロアチアは決勝トーナメントに進出してから、タフな戦いを強いられている。1回戦、準々決勝、準決勝と3試合連続で延長戦(うち2試合はPK戦の末の勝利)まで勝負がもつれながら、決勝まで勝ち残ったのはW杯史上初である。

 

 とはいえ、何回もこんなことを書かれながら(私も書きながら)クロアチアがここまで残ったのも事実である。準決勝のイングランド戦に至っては、90分間で交代は0人。苦戦しつつも1つ1つ勝ち上がってきた分、チームにまとまりが出ているはずだ。

 

 サイドアタッカーのFWイバン・ペリシッチとFWアンテ・レビッチをクロアチアのキーマンにあげる。スプリントとジョギングを織り交ぜながら、ドリブルで仕掛け、守備もこなしている。今大会ナンバーワンの総走行距離を誇るのはMFルカ・モドリッチだが、ペリシッチとレビッチはサイドの激しい上下動をさぼることなく行い、チームに貢献している。クロアチアの両サイドはフランスに脅威を与える。

 

(文/大木雄貴)