四国アイランドリーグplusは7月28日に後期がスタートした。愛媛マンダリンパイレーツのルーキー肥後郁弥は、前期3位に終わったチームにあってリーグ2位の打率3割3分7厘の好成績で前期を折り返した。インターバルも積極的にバットを振り込んだ肥後は愛媛逆襲のキーマンのひとりだ。後期優勝を目指す若きスラッガーに話を聞いた。

 

 松井裕樹と再戦を

 今季からアイランドリーグに入り、最初はプロの球に戸惑うこともありましたが、だんだんと同じ投手と対決していくうちに速い球にも慣れて対応力がついてきました。それが前期の好成績につながったのだと思っています。

 

 また愛媛に入ったばかりの頃から萩原淳コーチに「バットが下から出ている。上から叩け」と、スイングの修正をアドバイスされました。アマチュア時代は外野の頭を越すイメージで打席に入っていましたが、萩原コーチの教えは「鋭い打球で外野の間を抜け」というものでした。上から叩いて鋭い打球を飛ばす。そのイメージで開幕前、そして前記と後期の間、約ひと月のインターバルもスイングを積み重ねていました。

 

 インターバルでしっかり振った分が今は自信になっていると思います。結果はどうかは別にして後期も強いスイングを心がけたいですね。さらに今後の目標として長打力も身に着けたい。外国人選手と比較するとまだまだ飛ばす力は足りないし、NPBという目標を考えると当然、長打力も必要になりますから。

 

 前期はDHやファーストでの出場がほとんどでした。本来のポジションであるキャッチャーは5試合程度。ポジションはどこでも結果を残すのが仕事なので一生懸命にやっていますが、キャッチャーにはこだわりがあります。小学校からずっとやっていたポジションなので、いずれは正捕手としてチームに貢献したい。ただ、今は与えられた仕事をきちんとやることの方が大切です。

 

 小学1年から野球を始めて、ずっと憧れの選手は巨人・阿部慎之助選手です。小2でキャッチャーをやったのも、熱中症で倒れた正捕手の代わりを探していたときに、プロテクターとかマスクのカッコ良さに憧れて手をあげたくらいです(笑)。中学では浦安リトルシニアに入り、同チーム出身の阿部選手が教えにきてくれたこともあります。シニア時代は関東大会ベスト16が最高です。関東大会で松井裕樹(東北楽天)と対戦して、ヒットを打っているんですよ。当時からすごいスライダーを投げていた印象で、NPBに進んでまた対戦してみたいですね。

 

 愛媛に入って驚いているのは、NPB出身のコーチ、監督から受ける指導やアドバイスがこれまでにないもので、新しい野球の知識を得られたことです。例えばスイングに対するアドバイスも、ひとつひとつものにしていくと結果がついてくる。それでまた新しい発見がある。自分の引き出しが日々、増えている感じです。

 

 将来の目標はアマチュア時代から変わらずにNPB入りですが、遠くばかりを見ていないで足下もしっかりと見て、今、やるべきことをやらないといけないと思っています。まだまだ夢に近づくには課題が山積みですからね。自分自身も1年目の後期が本番だし、チームも前期3位から巻き返しが絶対です。チームが勝てるように、これからも精進していきます。アマチュア時代とは違って、練習時間はたっぷりありますから。では、これからも愛媛の応援をよろしくお願いします。

 

<肥後郁弥(ひご・ふみや)プロフィール>
1995年5月2日、千葉県出身。幼少期からプロ野球観戦を通じて野球に興味を持ち、小1からプレー開始。チームの主戦捕手の代役としてマスクを被ったのは小2のとき。以後、中高大と一貫してポジションはキャッチャー。中学時代は浦安リトルシニアに所属し、関東大会ベスト16。東京学館浦安高(千葉)では甲子園出場はならず(自身最高は高2県大会二回戦)。大学は旭川大に進学し、4年時には主将を務めた。18年、愛媛マンダリンパイレーツに入団。右投左打。身長178センチ・体重85キロ。


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