(写真:昨年の第99回大会を制したジャスティン・トーマス ©Getty Images)

 ゴルフのメジャータイトル、「全米プロゴルフ選手権」は100回目の記念大会となる。8月9日から12日までミズーリ州のベルリーブカントリークラブで開催される。当地での同大会開催は1992年以来という。2013年に井戸木鴻樹が全米シニアプロゴルフ選手権を制した場所として、日本のゴルフファンにも知られている。賞金総額は1050万ドル、優勝賞金は189万ドルとなる。

 

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 あの悔し涙から1年。

 ノースカロライナ州のクウェイルホロークラブで開催された昨年の大会、松山英樹は日本男子初となるメジャー制覇まで目前に迫った。

 

 2位で迎えた最終日。6番、7番で連続バーディーを奪い、8番を終えて単独首位に立った。しかし、11番から3連続ボギーで崩れてしまう。16番にもボギーを叩いてしまい、結局は5バーディー、6ボギーの72でスコアを伸ばせず、5位にとどまった。ホールアウト後、彼は溢れ出る涙をタオルで拭った。メジャーの高い壁に、はね返される形となった。

 

 今年こそ、の思いは強いはず。

 しかしながら2018年は苦闘が続いている。2月のフェニックスオープンで古傷とも言える左手親指付け根部分を痛めて棄権。出場予定だった大会はキャンセルせざるを得ず、練習での球数制限を強いられるなどその後も痛みと闘っている。

 

 完調とは言えない状態で4月のマスターズに臨んだ。7度目のチャレンジは、通算3アンダーの19位に終わった。続くメジャー第2戦、全米オープンも上位争いに食い込むことはなかった。昨年は2位だったこの大会。コースコンディションが悪かったとはいえ、初日に5オーバーと出遅れた。通算10オーバーの16位だった。

 

 ただ光明があるとすれば、マスターズも全米オープンも最終日に「粘り」を見せたことだろうか。マスターズでは「69」、全米オープンでは「66」をマークして意地を示したのも松山らしいと言える。

 

 残念だったのが、先日行われた全英オープンだ。2日目、トリプルボギーもあって71。通算4オーバーで80位にとどまり、決勝ラウンドに進めなかった。メジャー大会での予選落ちは2年ぶり。やはり調子が上がっていない。

 

 メジャー大会で上位に食い込んだ昨年と違い、ケガの影響もあるのか低空飛行が続いている。悔し涙を流した全米プロゴルフ選手権の舞台で、松山の意地に期待したい。

 

 復活近づくタイガー・ウッズ

 

 松山のほかにもう一人注目選手を挙げるなら、復活に近づくタイガー・ウッズだろう。松山が予選落ちした全英オープン。6位で迎えた最終日は“主役”となった。

 

 4番にバーディーを決めて上位にプレッシャーを掛け、10番で単独首位に立った。ここから強いのが全盛期のウッズなのだが、スコアが伸びずに71で終わった。通算5アンダーで6位のまま。しかし赤と黒の“タイガースタイル”にオーラが漂い、ファンの視線を集めた。メジャー大会のトップ10入りは、2013年の全英オープン以来。復活の第一歩を刻んで、この全米プロゴルフ選手権に挑む。

 

 ウッズはこの大会に4度優勝している(1999年、2000年、2006年、2007年)。

 過去の大会で印象深いのが、2度目の優勝となった2000年だろう。

 

 まさに手に汗握る攻防だった。

 ウッズは最終日の前半にもたついてボブ・メイにリードを許す形となったものの、後半に追い上げてようやく17番で並ぶ。最終18番は、2人ともバーディーをマークして3ホールプレーオフにもつれ込む。しかしチャージ態勢に入ったウッズは強かった。1ホール目(16番)でバーディーを決めると、リードを守って2連覇を達成したのだ。

 

 何度もガッツポーズを繰り出したウッズの雄叫びとアクションに、ファンは酔いしれた。42歳のウッズは今回、不気味な存在に映る。

 

 昨年の大会で松山らを退けてメジャー優勝を飾ったのが、ジャスティン・トーマスである。2016~17シーズンのフェデックスカップ年間優勝を飾るなど、その実力は本物。松山の1つ年下の25歳で、次世代のスター候補生だ。世界ランキングも1位にのぼりつめている(現在は3位)。

 

 父も祖父もプロゴルファー。大柄ではないが、世界屈指の飛ばし屋は勝負強さも折り紙つきで、同大会ではウッズ以来の2連覇を狙う。

 

 世界ランク1位のダスティン・ジョンソン、今年、全米オープンを2連覇したブルックス・ケプカ、全英オープン2位で世界ランキングでも2位に上昇したジャスティン・ローズ……。全米プロゴルフ選手権は恒例だった8月開催は今年で終わり。来年からは5月開催に移行する。今年最後のメジャー、最後の8月開催で、栄光をつかみ取るのは誰か――。

 

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放送スケジュール】ゴルフネットワークにて全ラウンド生中継

 

<全米プロゴルフ選手権>

1日目:8月9日(木)深夜2:00~翌9:00

2日目:8月10日(金)深夜2:00~翌9:00

3日目:8月11日(土)23:00~翌8:00

最終日:8月12日(日)23:00~翌8:00

※1、2、3日目の最大延長は翌10:00まで。最終日の最大延長は翌11:00まで

 

※このコーナーではスカパー!の数多くのスポーツコンテンツの中から、二宮清純が定期的にオススメをナビゲート。ならではの“見方”で、スポーツをより楽しみたい皆さんの“味方”になります。


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