(写真:©2018, JRFU Photo by S.IDA)

 ジャパンラグビーのトップリーグ2018-2019が、8月31日に開幕する。来年日本で開催されるラグビーワールドカップ2019に向けた日本代表の強化期間に充てるため、今季は年内で終える全10戦の短期決戦になる。

 

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 概要はこうである。

 昨季の順位をもとに16チームが2つのカンファレンス(レッド、ホワイト)に振り分けられ、それぞれ総当たり戦(7試合)を行う。カンファレンス上位4チームによる1~8位トーナメント、下位4チームが順位決定トーナメントによる9~16位トーナメントを開催する(3試合)。全チームが10試合を行うことになり、上位トーナメントのファイナル(12月15日)で勝ったチームが優勝となる。

 

 ただ今季はリーグ戦とは別に、カップ戦を新設。代表期間にあたる11月のウインドウマンスに4チーム×4のプール戦(3試合)を行い、来年1月に、各順位で振り分けられる順位決定トーナメント(2試合)を開催して優勝チームを決定する。代表選手を除いた大会を新設することで、「試合をもっと見たい」と願うトップリーグファンのニーズにも応えることになる。また今季はワールドカップ開催都市で試合が数多く組まれており、来年に向けた盛り上がりをつくるシーズンになる。

 

 トップリーグの2カンファレンスは以下になる。

【レッドカンファレンス】カッコ内は昨季順位

サントリーサンゴリアス(1位)

トヨタ自動車ヴェルブリッツ(4位)

神戸製鋼コベルコスティーラーズ(5位)

NECグリーンロケッツ(8位)

NTTコミュニケーションズシャイニングアークス(9位)

豊田自動織機シャトルズ(12位)

宗像サニックスブルース(13位)

日野レッドドルフィンズ(トップチャレンジ2位)

 

【ホワイトカンファレンス】

パナソニックワイルドナイツ(2位)

ヤマハ発動機ジュビロ(3位)

東芝ブレイブルーパス(6位)

リコーブラックラムズ(7位)

キヤノンイーグルス(10位)

クボタスピアーズ(11位)

コカ・コーラレッドスパーク(14位)

Honda HEAT(トップチャレンジ1位)

 

 サントリー、ルーキーが底上げ

 

 優勝候補の筆頭は3連覇を狙うサントリーだ。

 代名詞となっているアタッキングラグビーに磨きが掛かり、昨季のファイナルでは覇権奪回に燃えるパナソニックを12-8で沈めた。

 

 サントリーには今季、若いタレントが加わった。大学選手権9連覇の帝京大から主将のHO堀越康介、副将のFB尾﨑晟也、その帝京と決勝を戦った明治大の副将CTB梶村祐介、さらに早稲田大の主将FL加藤広人も加入した。堀越と尾﨑は日本代表のキャップを持つ。梶村は日本代表スコッド、加藤はU20代表の経歴を誇る。

 

 8月20日に都内で開かれたプレスカンファレンスで主将のSH流大も手応えをこう口にする。

「ルーキーがチームの底上げをしてくれています。ポジション争いも凄く激しくて、チームとしていいトレーニングができている」

 

 盤石ぶりをうかがわせるこのサントリーと開幕戦(9月1日、豊田スタジアム)でぶつかるのがワールドカップ優勝監督の名将ジェイク・ホワイトのもとで昨季4位に躍進したトヨタ自動車である。チームの中心が日本代表でも評価を上げているFL姫野和樹。トヨタでは新人ながら主将を任され、代表デビューとなったオーストラリア代表戦でトライを挙げるなどブレイク中だ。

 

 昨季はサントリー相手に1点差で涙をのんでいる。

 姫野の鼻息も荒い。

「(サントリーと開幕戦で戦うのは)嬉しい部分でもあります。昨年は10点以上リードしながらも僕たちの甘さで敗れてしまった。あれから自分たちがどう変わったのかを、自分も楽しみにしています」

 短期決戦だけに1試合にかかる比重が大きい。サントリーとトヨタの一戦は、いきなりの大一番となりそうだ。

 

 3年ぶりの優勝に意気込むのがパナソニックだ。サンウルブズでも活躍するフランカーの布巻峻介主将がプレスカンファレスの席上、「推しメン」に挙げたのが、東福岡高から加入したルーキーのフランカー福井翔大だ。大学を経由せず、トップリーグの強豪に入ってきただけに注目を浴びている。

「練習試合とかでも普通に交じってやれているので、何も違和感がない。つい最近まで高校生だと思うと、やっぱり凄いなって思います」

 代表選手がそろうチームでもまれることによって、急激な成長を促している様子。パナソニックからまた一人、楽しみな選手が出てきそうだ。

 

 神鋼、世界的ビッグネームを補強

 

 そして今季、最も熱視線を浴びているのが神戸製鋼だと言えよう。

 

 ニュージーランド代表オールブラックスのコーチを務めたウェイン・スミスを総監督に呼び、そして元オールブラックスのスーパースターであるSOダン・カーターが加わった。このビッグニュースにトップリーグファンも歓喜した。

 

 スミスは言わずと知れた名将。元オールブラックスSOは2011年、2015年のワールドカップでコーチとして2連覇を経験した。また、現在36歳のカーターはオールブラックスで112キャップを誇り、通算1598得点はテストマッチ歴代1位である。2011年のワールドカップでは負傷離脱したものの、復活を果たして2015年のワールドカップ2連覇にも大きく貢献した。ワールドラグビーの年間MVPに3度輝いている。

 

 もう1チーム、虎視眈々と優勝を狙うのが清宮克幸監督率いるヤマハ。常に上位に顔を出しているだけに"今年こそ〟の思いは強い。セットプレーという武器に加え、こだわってきたのが終盤のランだという。

 

 清宮監督の言葉にも自信がのぞく。

「ラスト20分の結果が出ていなかった。今季はたくさん走りますよ。(就任して)8年目ですけど、間違いなく一番走れる。36、37歳の選手が自己ベストをどんどん更新していますから」

 セットプレーの強さをより発揮するために身長208cmの長身ロック、リッチー・アーノルドを獲得するなど、補強にも成功している。

 

 短期決戦となる今季のトップリーグ。トップに立つのは、どのチームか――。

 

 なお、ジャパンラグビートップリーグはJ SPORTSで開幕節を全試合放送。

※以降の放送スケジュールはJ SPORTSホームページをご確認下さい。

 

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