四国アイランドリーグplus後期において上位2チームを最後まで苦しめたのが3位の高知ファイティングドッグスだ。牽引役のひとりがクリーンアップを打つ髙井悠生。昨季限りで愛媛マンダリンパイレーツを自由契約になったが、新天地・高知でその長打力が開花した。6月には北海道日本ハムとの交流戦でホームランも放った髙井に打撃開眼のきっかけを聞いた。

 

 シンプルなアドバイス

 昨季限りで愛媛を自由契約になりましたが、まだまだ野球に対して燃え尽きていなかった。それで「どこかで野球を続けたい」と移籍先を探していたとき、高知ファイティングドックスのアカデミーでコーチをしている國信貴裕さんと連絡をとって、高知のテストを受けることになりました。実は國信さんは僕が運転免許をとったときの教習所の先生だったんですよ。意外な接点ですよね。

 

 高知に来て駒田徳広監督のアドバイスを受けましたが、教えは非常にシンプルなものでした。「しっかりとトップを作って、タイミングをとる。そして体をねじって、思い切って振れ!」というのが駒田監督の教えです。とても簡単なアドバイスですが、これを意識することでバッティングの波が少なくなりましたね。その他、「バッティングはいろいろ考えてやると迷いが出る。それよりも髙井は思い切っていくことを考えろ」など、選手それぞれの良さを活かすアドバイスが多く、やはりNPBですごい実績を残しただけに、教え方やアドバイス方法もわかりやすいですね。そういう意味でも高知に来て良かったと思っています。

 

 前期と後期のインターバルに行われたNPB2軍との交流戦でのホームランは、「初球から思い切って振っていこう」と思っていて、それをきちんとできたので自分でも満足できる一発でした。

 

 相手はサウスポーの高山優希投手(17年ドラフト5位)、初球のストレートを狙っていってファウル。その次の2球目、同じくストレートを打ってスタンドまで運びました。この試合には去年のドラ1清宮幸太郎選手も出ていましたが、スイングの速さと年下なのに体がしっかりしていることに驚きました。自分もNPBを目指す上で足りない部分は何なのか、ひとつの指針になりましたね。

 

 高知では3番などクリーンアップを任されていますが、得点圏にランナーがいたら絶対に返すという気持ちで打席に入っています。また負けている試合では、いかにチャンスを作るか。自分のバットで局面を変えられたらという思いでいますね。

 

 高校時代、3年の夏に1番を打ったことがあります。当時、監督が「チームに勢いをつけるため」と説明してくれましたが、高知でも自分のバットで勢いづけられたらいいですね。

 

 前期は2位でしたが香川オリーブガイナーズの独走を許し、後期はあと一歩、上位2チームに届きませんでした。来季はファンの方に優勝争いを見てもらえるように頑張りますので応援よろしくお願いします。

 

<髙井悠生(たかい・ゆうき)プロフィール>
1996年6月8日、岐阜県出身。父や2人の兄の影響で物心がつくころからボールを握り、小学1年生で地元チームに入団。ファースト、キャッチャー、ピッチャーなど複数のポジションをこなした。中学進学後、ボーイズリーグに入団し、3年時は4番を務め全国大会に出場し3回戦まで勝ち進んだ。高校は市立岐阜商に入学し、1年夏からベンチ入り。1年秋は5番、2年夏から4番に座りチームを県大会決勝まで引っ張った。15年、高校を卒業しアイランドリーグplus愛媛に入団。1年目は51試合に出場し、打率2割6分1厘の成績を残すが徐々に出場機会が減少。17年は21試合にとどまり、そのオフに自由契約。18年から高知へ移籍。今季は62試合に出場し、打率2割8分9厘、4本塁打、23打点の成績を残した。右投右打。身長176センチ、体重86キロ。


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