9日、明治安田生命J3リーグ(J3)の第1節が各地で行われ、相模原ギオンスタジアムではSC相模原対ツエーゲン金沢が激突した。前半は互いに決定機をつくれず、スコアレスで試合を折り返した。しかし、後半は金沢がゴールラッシュを見せた。後半7分、DF作田裕次が先制点を奪うと、17分にDF太田康介、22分にMF佐藤和弘、31分にはMF清原翔平が決めてリードを広げた。金沢は相模原にゴールを許さず、大勝でJ3初戦を飾った。

 創設7年目の相模原、厳しいスタート(ギオン)
SC相模原 0−4 ツエーゲン金沢
【得点】
[金沢] 作田裕次(52分)、太田康介(62分)、佐藤和弘(67分)、清原翔平(76分)
「最高のゲームができてうれしい」
 金沢・森下仁之監督は試合の感想をこう述べた。前半こそ決定機をつくれなかったが、後半にゴールラッシュ。1年目でJ2昇格を果たすべく、大勝スタートを切った。

 前半は開幕戦特有の緊張か、金沢の選手たちの動きが硬かった。相手にプレスをかける際の出足が遅れ、相模原にボールを回された。ただ守りのブロックはしっかりとつくれていたたため、相模原になかなかシュートまで持ち込ませない。ボールを奪ってからは、ロングボールで前線の選手に当てて、2列目の選手が絡んで相模原ゴールに迫った。28分、清原が左サイドを抜け出し、左45度の位置から左足でシュート。しかし、これはわずかにゴール右へ外れた。

 無得点で試合を折り返すと、ハーフタイムで森下監督は「アタッキングゾーンで積極的に仕掛けていこう」と攻撃を活性化させるよう選手達に指示した。
 指揮官の指示に、選手達が応えた。後半7分、作田が先制点を奪った。セットプレーのこぼれ球を、DF阿渡真也がゴール前へ送ったボールを、左足で押し込んだ。作田はチーム唯一の石川県出身。そんな作田はチームの“J初ゴール”を「狙ってはいたが、(ヘディングが得意なので)まさか足とは」と笑って喜んだ。

 先制した金沢は、ここから攻勢を強めていった。17分、太田が右CKからのボールを頭でピタリと合わせた。22分には、右サイドからのクロスがファーサイドに流れたところを、佐藤が右足で豪快にゴールへ蹴り込んだ。怒涛のゴールラッシュに金沢から詰め掛けたサポーターも沸いた。
 31分には、主将の清原がダメを押した。高い位置でボールを奪った味方から、PA手前でボールを受ける。ドリブルで持ち込み、PA内で相手DFをひとりいなして、左足でゴール右へ流し込んだ。

 大量リードを奪った金沢は、森下監督が「守備のところから準備してきた」と自信を見せたように、最後まで集中力を保ち、相模原をシャットアウト。攻守の歯車が噛み合った完勝で開幕戦を飾った。

「効果的に追加点をとれたことが勝利につながった」
 森下監督は勝因をこう語った。先制点を含めて、約25分間で4得点を奪い、相手に反撃のスキを与えなかった。
 また開幕戦に臨むにあたり、金沢は積雪の影響でグラウンドで練習ができず、試合2日前に静岡県に移動して練習環境を確保した。これについて森下監督は「(移動を認めてくれた)クラブの今シーズンにかける思いが伝わってきた」とフロントへ感謝を述べた。

 金沢は昨季、J2入りを目指していたが叶わず、14年はJ3を戦うことになった。金沢からバスで応援に駆け付けた男性サポーターは「目指しているところはJ2、そしてJ1。さらなる上のステージを目指して、選手、クラブ、サポーターのみんなで頑張っていきたい」と1年でのJ3突破を願っていた。その意味で、開幕戦の完勝劇は、ステップアップを果たすための大きな足がかかりになったに違いない。