ラグビー日本選手権決勝が9日、東京・国立競技場で行われ、パナソニックワイルドナイツが東芝ブレイブルーパスを30−21で破り、4年ぶり4度目の優勝(三洋電機時代も含む)を収めた。前半こそ10−14とリードを許したが、後半の立ち上がりにCTB林泰基のトライで逆転に成功。その後もPGなどでリードを広げた。パナソニックはチーム史上初となるトップリーグとの2冠を達成した。
 現国立競技場ではラストとなる日本選手権決勝の舞台。最後に笑ったのは、今季もっとも充実していたパナソニックだった。

 キックオフ直後からボールを支配し、主導権を握る。3分、SOベリック・バーンズのPGで先制。6分にはパナソニックの圧力に、東芝FLのスティーブン・ベイツがたまらず反則を繰り返してシンビン(10分間の一時退場)となり、数的優位に立った。

 ただ、相手陣内に攻め込むも、ラストパスがうまく通らず、リードを広げるには至らない。すると東芝はベイツが戻った直後の19分、右サイドに人数をかけて逆襲。パナソニックの守りが偏ったところへ、今度は左へ大きく展開し、WTB大島脩平が飛び込んだ。ゴールも決まって7−3と逆転に成功する。

 それでもパナソニックはスーパーラグビーのハイランダー(ニュージーランド)から強行日程で帰国したSH田中史朗が右へ左へボールをさばき、東芝ゴールに迫る。そして20分、田中から左につないで、最後はタッチライン際をWTB山田章仁が突破。トライで10−7と試合をひっくり返す。

 しかし、今季はパナソニックに3戦全敗と苦杯を舐めさせられた東芝もすぐさま反撃。No.8望月雄太が巧みなステップで相手の守りをかいくぐり、左中間へトライを決めた。これで14−10。東芝が少ないチャンスをものにし、リードして折り返す。

「今季一番タフで、一番疲れた」
 ゲームキャプテンのWTB北川智規は試合後、そう振り返ったが、後半に入って地力を発揮したのがパナソニックだ。後半6分、田中が相手のキックにジャージして敵陣内でボールを奪う。このプレーをきっかけに生じたチャンスを逃さず、バーンズ、林とつないで中央を切り裂き、再び逆転に成功した。

 さらに14分、バーンズのPGで20−14とリードを広げると、20分には再び東芝のキックをインターセプト。一気に左サイドに攻め込み、バーンズが守りの手薄な右へ蹴り出して途中出場のJPピーターセンがゴール内に持ち込んだ。ゴールも決まって27−14。パナソニックが試合を優位に進めていく。

 直後、東芝はFLリーチマイケルのトライで追いすがるも、32分、またも田中が好プレーをみせる。相手スクラムから東芝SH小川高廣がボールを出そうとしたところへ回り込んでタックル。混戦の中で相手が反則を犯し、バーンズが試合を決定付けるPGを決めた。

 パナソニックは三洋電機からチーム名が変更になってからは初の日本一。前年まではサントリーサンゴリアスが3連覇中だっただけに、中嶋則文監督は「選手が今まで努力をしてくれた結果。よくやってくれた」とタイトルを奪還した選手たちを称えた。