日本ラグビー協会は12日、5月のアジア5カ国対抗、6月のパシフィックネーションズカップなどに臨む日本代表メンバー40名(FW24名、BK16名)を発表した。スーパーラグビーでプレーする堀江翔太、田中史朗(ともにパナソニック)、立川理道(クボタ)らが順当に選ばれたほか、トップリーグ新人賞を受賞したPR稲垣啓太(パナソニック)、帝京大3年のLO小瀧尚弘など4名が初招集された。5月の5カ国対抗は2015年のイングランドW杯のアジア地区予選を兼ねており、優勝すれば8大会連続の本大会進出が決まる。協会内で会見したエディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)は「安定感あるスコッドになった」とW杯出場権獲得へ向け、メンバー選考に自信をのぞかせた。
(写真:「突出したものがないとW杯には出られない」と熱く語るジョーンズHC)
「世界のトップ10入り」を目標に掲げるイングランドW杯まで残り1年半。エディージャパンにとって、今春の当面の目標は、本大会の切符を得ることだ。5カ国対抗では5月3日にフィリピン(マニラ)、10日にスリランカ(愛知・瑞穂)、17日に韓国(仁川)、25日には香港(東京・国立競技場)でそれぞれ対戦する。いずれも格下の相手ではあるが、ジョーンズHCは「枠を獲るためにベストメンバーを使う」と、まずは予選突破へ全力を傾ける考えだ。

 その上で「2015年は視野に入れている」とジャパンのさらなる底上げにも着手する。ジョーンズHCは代表の課題のひとつとして、「スコッドの半分の選手はインターナショナルレベルでできるか疑問」と指摘。主力と控えに実力差がある現状で、新たなメンバーを入れ、切磋琢磨させることで全体のレベルを引き上げていく方針だ。

 今回、初招集した4名は、いずれもジョーンズHCが成長次第で15年W杯本大会のメンバー入りの可能性があると見込んでいる。新人ながらパナソニックの2冠に貢献した稲垣には「素晴らしいタックラー。トップリーグのプレーぶりには感銘を受けた」と評価。194センチ、110キロと恵まれた体格を誇る大学生の小瀧については、「ラインアウト、キックオフ、空中戦のスキルが優れ、スピードもまずまずある」と将来性を買った。

 さらに、今春の代表の活動では40名のメンバーに加え、大学生4選手を育成選手として帯同させる。選ばれたのは大学選手権でV5を達成した帝京大のCTB牧田旦(4年)、HO坂手淳史(2年)ら。ジョーンズHCは「早くインターナショナルレベルの選手になって、日本代表に入れるようになってほしい」と、春のみならず、夏の合宿でも継続して一緒に練習を行わせる予定だ。

「W杯で経験のない選手を使うことは世界ではあり得ない」
 そう断言するジョーンズHCが、W杯出場メンバーに求めるキャップ数の目安は「20以上」。残り1年半でのテストマッチは25試合程度とみられ、ここからは代表内での競争を勝ち抜き、世界と戦う場数を踏むことが各選手には求められていく。ジョーンズHCは「なるべく、このメンバーでW杯に行けることを願う」としながらも、「スコッドは毎回レビューする。まだポジションをつかんだ選手はいない」と、W杯で勝てるチームづくりへ厳しい姿勢を打ち出した。

 高みを狙う上で、目標も“上方修正”した。これまでは15年W杯での「トップ10入りを目指す」と発言してきたジョーンズHCだが、「W杯が近くなってきた。強い気持ちで臨みたい」とトップ8入りにハードルを上げた。そのためには予選プール突破は当然のことながら、決勝トーナメントでも上位進出が必要になる。
 
「もっと強く、もっとフィットネスをあげて、もっと速くならないといけない」
 大きな目標を達成すべく、強化ポイントは「たくさんある」と指揮官は表情を引き締めた。W杯に出るだけでなく、世界を驚かす――。4月の菅平合宿からエディージャパンは新たなステージへ突入する。