(写真:試合終了後にはドヘニー<右>が控室へ挨拶に訪れた)

 16日、ボクシングのIBF世界スーパーバンタム級タイトルマッチが東京・後楽園ホールで行われ、王者の岩佐亮佑(セレス)が同級1位のTJ・ドヘニー(アイルランド)に判定で敗れた。岩佐は2度目の防衛に失敗し、通算戦績を25勝(16KO)3敗とした。ドヘニーは20戦無敗の新チャンピオンとなった。

 

 プロデビューの地・後楽園ホールでの防衛戦。岩佐は最強の挑戦者に敗れた。

 

 IBFからの指名挑戦者は19戦無敗14KOのドヘニー。アイルランドからの強敵に岩佐陣営も警戒していた。

 

(写真:決定打をもらうことはなかったが、クリーンヒットさせることもできず)

 第1ラウンド、ドヘニーの右目付近が切れ、流血。ラウンド終了間際には右のフックを当ててグラつかせた。これでペースを掴むかと思われたが、流れに乗れなかった。

 

「駆け引きに引き込まれてしまった」
 相手に距離を詰められ、思うようにパンチを当てられない。セレス小林会長の発破を受け、巻き返しを図ったものの、ドヘニーにペースを握られた。

 

 セレス会長は「これは岩佐の課題。打ち込む勇気、踏み込む勇気が必要だった」と振り返るように、岩佐自身も「焦っていくと倒されると思った」と思い切りを欠いた。

 

(写真:試合終盤はラウンドが始まるごとに岩佐に大声援が送られた)

 最後まで会場は岩佐コールで後押しをした。「今までで一番の応援だった」。互いにダウンは奪えず、12ラウンドが終了した。岩佐の表情は負けを覚悟しているように映った。「自分の中でも負けたと思った」。ジャッジ3人は113-115、112-117、112-116と挑戦者を勝者に支持した。

 

 セレス会長も叶わなかった世界戦V2。愛弟子は「大きな壁を乗り越えられなかった。今日の出来にはガッカリ」と肩を落とした。順調にトレーニングを積み、自信はあった。「『練習では良かった』と言っても、リングの上がすべて。それが実力」。昨年9月にようやく掴んだ世界のベルトだったが、1年も経たずして失った。

 

(文・写真/杉浦泰介)