プロ野球独立リーグのBCリーグに来季から新球団、茨城県民球団(茨城アストロプラネッツ)が加わることになった。7月24日、リーグへの本加盟が承認され、BCリーグ11球団目のチームとして来季からペナントレースを戦う。今回は同球団の長峰昌司ゼネラルマネジャー(GM)に話を聞いた。茨城出身の長峰GMが新球団にかける想いとは?

 

 「オラが球団」を目指して

 7月の加盟正式承認から約ひと月が経ちました。現在は県内各地を回り、自治体の長やスポーツ振興課の担当者と面会の日々です。「茨城県民球団のゼネラルマネジャー、長峰昌司です」という挨拶も今ではすっかり板についたかなと思っています。

 

 挨拶回りと同時に監督や選手の選出も進めています。監督は何人かの候補者をリストアップしており、この後、本交渉に入ります。新球団の監督として思い描いているのは、野球選手だけでなく社会人を育てられる人物です。BCリーグは野球だけを教える場所ではなく、セカンドキャリアで社会に出ても通用する人物を育てるのが理念ですから、うちの監督も野球だけでなく社会のことを教えられる人物になるでしょうね。

 

 選手はリーグの分配ドラフトもありますが、できるだけ多くの地元・茨城の選手で構成したいという思いがあります。企業チームが減っていく中で、この新球団は茨城の野球人の受け皿になりたいんです。茨城で生まれて、茨城の野球で育った選手たちが、地元で野球を続けられる環境を構築して、そして地元の人たちも応援できる。そういうチームが理想です。

 

 新球団のGMになったのは知人を介して山根将大球団代表と会ったことです。代表は僕よりも年下なんですが、「茨城に新球団を!」という夢、大きなビジョン、そして熱い気持ちを持った人でした。代表と話をしていくうちに、「新球団の立ち上げに関わるという大仕事なんて、一生に一度あるかないかのことじゃないか」と思い始めて、それで気がついたらGMを引き受けていたという感じです。

 

 GMになってイチから球団を作ることの大変さを目の当たりにして、やはり不安に感じるときもあります。でも「地元に素晴らしい球団を」という理想を持って、代表とともにブレずにプロジェクトを進めていきたいですね。この先にはたぶんもっと困難なことが待ち受けていることでしょう。でも、それを上回る楽しさ、やり甲斐を毎日感じています。選手として入ってくる人はもちろん、スタッフとして関わってくれる若い人たち。彼ら全員の人生を背負う責任を感じながら、これまでにないワクワクとした気持ちです。本当に毎日が楽しくて仕方ないですよ。

 

 私は地元・鉾田のチームで野球を始めて、中学も地元の学校で県大会優勝。そして高校も水戸商で甲子園に行きました。その後、ドラフト5位で中日に入団するわけですが、いわば茨城に育てられてNPBにまでたどり着いたと思っています。だから現役を引退したとき、「これまで学んできたことを地元の子供たちに還元しよう。茨城に恩返しをしよう」と思いました。最初はデーブさん(大久保博元)に声をかけられて野球教室の講師をしたり、今回の新球団立ち上げに関わっているのも「恩返し」の一環です。

 

 私には夢があるんです。この新球団が茨城の人に応援してもらって大きく、そして強くなり、やがて県民にとってなくてはならない存在になることです。県内の誰もが「昨日のアストロプラネッツはよ」と話題にするようになってほしいですね。

 

 そのために、我々は県内のどこにでも行くつもりです。茨城は古くから野球どころなので、県内に立派な球場がいくつもあります。当然、公式戦はそちらで開催しますが、それ以外に球場を持たない市や町でも、熱意のある担当者の方と大勢お目にかかりました。そういう自治体では野球教室やイベントを積極的に開催するなど、手広く展開していきたいですね。

 

 この秋には監督を含めて球団の体制が固まります。新球団の動向は、公式サイトでチェックできますので、そちらも見てみてください。

 

茨城アストロプラネッツ公式サイト
ibaraki-bcl.com/

 

<長峰昌司(ながみね・しょうじ)>
1984年8月8日、茨城県出身。父や兄の影響で5歳のころから野球を始め、小学生時代は地元のスポーツ少年団に所属、鉾田南中に進学後は同校野球部に入部。中3時に県大会優勝を果たした。高校は県内の強豪校・水戸商へ進み、2年春にセンバツに出場した。高3夏は県大会決勝で常総学院に逆転負けを喫し、甲子園出場は果たせず。2003年、ドラフト5位で中日に入団した。2年目の04年7月17日、甲子園の阪神戦、延長10回、同点の場面でプロ初登板。三者三振を奪い、その後、チームが逆転勝ちをし初登板で初勝利をものにした。08年は33試合に登板。12年、オリックスに移籍し、同年秋に現役引退。引退後は「デーブ・ベースボール・アカデミー」の講師を務め、18年7月から茨城県民球団(茨城アストロプラネッツ)のゼネラルマネージャーに就任した。


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