控え選手の代打ホームランも甲子園の醍醐味

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 暑い夏でしたが、甲子園も熱戦続きでした。準優勝の金足農(秋田)の健闘は立派なものです。公立高校でナイン一丸となって戦い、そしてエース吉田輝星君が県大会からひとりで投げ抜いて甲子園の決勝までたどり着いた。敗れたとはいえ、この経験はこれからの人生で必ずや糧になるでしょう。

 

 プレッシャーとは無縁

 私もPL学園で夏の甲子園で優勝を果たしたとき、大阪大会からひとりで投げました。疲労ですか? 40年前のことなので忘れましたよ(笑)。疲れたという記憶はないし、よく「西田さん、甲子園はプレッシャーがすごいんでしょ」と聞かれますが、プレッシャーも感じないんですよ。それは今の球児たちも同じだと思います。

 

 甲子園という舞台装置の雰囲気は最高で、大観衆の前でやり甲斐を感じて、そのうちにその雰囲気に乗せられて戦っていける。そういういい思い出ばかりですね。前回も言いましたが、高校野球は初戦だけ、誰しも「何かしっくりこないな」と感じます。でも、その後は大観衆の後押しのありがたさを感じて、ベスト8から先になれば「ここまで来たら悔いのないように」と肚も座ったもんです。

 

 それにしてもたかが高校野球、されど高校野球。これは日本の文化ですね。今年は特にそれを感じました。

 

 聞くところによると秋田県は県一丸となって、高校野球強化に務めたとか。金足農の活躍は秋田県民の皆さんの励みになったし、県のPRにもなったでしょう。地方都市の人口が減っていく中で、高校野球による地方創生というのもなかなかいいことです。地元選手が活躍すれば、子供たちが「自分たちも秋田で頑張ろう」と夢を持てますからね。

 

 さて、香川オリーブガイナーズの後期のことですが、離脱している主力がいることもあって、前期Vを果たしたときを100とすると、現在のチーム力は50%くらいでしょうか。攻守の要である加藤次郎の不在が特に痛いですね。そういうチーム状況なので経験の少ない選手を起用していますが、その選手たちが苦しい戦いの中で何かを得て、そして成長して欲しいと願っています。

 

 勝っても負けても収穫と課題

 後期に入って負け試合は1点差を落とし、先発投手に勝ちがつかないという状況が多い。投打が噛み合わないなどうまくいかないのは野球の常ですし、負け試合にも収穫があり、そして課題があります。そういう状況で選手は経験を積み、判断力を養うなど成長する必要がある。

 

 若手というか、アイランドリーグは全選手が若いですから、経験の少ない選手を起用できるのは前期Vのおかげです。彼らが実戦の中で自分なりに何かをつかんで、いい結果を残してもらいたい。独立リーグというのは常に上を目指す中で、日々、何を得るかという場所ですから。

 

 チャンピオンシップは主力も戻り、ベストメンバーが揃うことでしょう。投手陣では新人投手の森崎友星が頑張っているので、抑えの原田宥希を含めて、チーム全体で守り勝つ野球をして、ポストシーズンを迎えたいと思っています。

 

 最後に甲子園のことでもうひとつ。土浦日大(茨城)と興南(沖縄)の試合で、5点ビハインドの9回1死、代打に出てきた土浦日大・磯貝郁人君がホームランを打ちました。彼はこの夏、公式戦出場はなく、これが初打席でした。大会屈指のサウスポー興南・宮城大弥君の難しいインコースのスライダーを見事にとらえました。普段試合に出てない選手が、最後の最後、大舞台でアーチをかけるなんて、あれも甲子園のドラマです。本人はもちろん、親御さんも大喜びでしょうね。大阪桐蔭や金足農とはまた違った今年の甲子園の名場面ということで、付け足してみました。

 

 では、後期も残り約10試合です。後期もできるだけ上の順位を目指し、そしてチャンピオンシップを勝ち抜いて、独立リーグ日本一を勝ち取ります。香川オリーブガイナーズへ、これまで以上の応援をよろしくお願いします。

 

<このコーナーは毎月1日更新です>

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