(写真:得意のセットプレーから挙げたトライに歓喜する日野の選手たち)

 ジャパン・ラグビートップリーグが開幕した。町田市立野津田公園陸上競技場では8月31日に日野レッドドルフィンズと宗像サニックスブルースが対戦。昇格組の日野が33-3で快勝、トップリーグ初陣を飾った。9月1日に豊田スタジアムで行われた試合では2連覇中の王者サントリーサンゴリアスがトヨタ自動車ヴェルブリッツに27-25で逆転勝ち。また同会場でのヤマハ発動機ジュビロ対コカ・コーラレッドスパークスはヤマハが43-3で勝利。13得点を挙げたヤマハのFB五郎丸歩はトップリーグ通算得点を1195点とし、CTBニコラス・ライアンの1187点を抜き、歴代最多記録を更新した。

 

 その他は東芝ブレイブルーパスがキヤノンイーグルスに20-26で惜敗。パナソニック ワイルドナイツはクボタスピアーズに15-11で競り勝った。神戸製鋼コベルコスティーラーズは、新加入の元オールブラックスのスーパースターSOダン・カーターの出場はなかったものの、NTTコミュニケーションズシャイニングアークスに34-27で勝利した。

 

 歴史刻んだ一歩

 

(写真:LOリアキ・モリ<中央>は持ち味を存分に発揮)

 赤く染まったスタンドはまるでホームスタジアムだった。日野のキャプテンLO村田毅は「ファンの声が背中を押してくれた」と感謝した。初のトップリーグを日野が勝利で飾った。

 

 両軍PGを決め、3-3で迎えた28分、日野にトップリーグ初トライが生まれる。ラインアウトでボールをキャッチしたFLアッシュ・パーカーがそのままインゴールに飛び込んだ。町田コンバージョンキックはSO染山茂範が決めて、10-3とリードを広げた。36分には自陣でボールを奪うとカウンター。キックで距離を稼ぎ、最後はSH橋本法史が持ち込んでトライを挙げた。コンバージョンを再び染山が決め、17-3で前半を終えた。

 

(写真:途中出場のSO染山はキック6本を全て成功)

 後半3分と17分にPGで突き放す日野。36分には得意のセットプレーからトドメを刺した。敵陣右サイドでスクラムを得ると、押し勝つ。バックスタンドに陣取った応援団の声援を浴びながら、前進する。パーカーがこの日2トライ目を挙げ、28-3と勝利をググっと手繰り寄せる。コンバージョンを染山が着実に得点にし、30-3と差を大きく広げた。そのままのスコアでタイムアップ。開幕戦を白星で飾った。

 

 セットプレーをトライに繋げ、キックで着実に加点した。守ってはサニックスをノートライに抑えた。細谷直監督が「1勝の重みは大きい。単なる7分の1じゃない」と意気込んでいた開幕戦。対策としてBチームを仮想サニックスに見立て、しっかりと準備を積んでいた。指揮官は「チーム全体でサニックスさんのイメージを共有できていた」と胸を張る。

 

(写真:強力なBK陣を誇るサニックス相手に身を挺してディフェンス)

 日野は今季からトップリーグで唯一企業名を外すなど、チャレンジングなチームだ。細谷監督は開幕戦勝利の大きさをこう語る。

「トップリーグの中で大きな意味のある一歩だと思います。新しい歴史の中で存在感を示すことが、トップリーグが良い方向に変わっていく道標に我々はならなければいけない。おこがましいところはありますが、我々の責任は大きい」

 

 また日野はスーパーラグビーの強豪クルセイダーズ(ニュージーランド)とのパートナーシップ契約を交わしたことも発表した。「日本のトップチームになり、世界に向けて選手を輩出していく」(細谷監督)。新たな一歩を刻んだ日野がトントン拍子でトップリーグを駆け上がれるか。次節は9月8日、豊田自動織機シャトルズと対戦する。

 

(文・写真/杉浦泰介)