29日、フィギュアスケートの世界選手権がさいたまスーパーアリーナで行われ、女子シングルはショートプログラム(SP)で世界歴代最高得点をマークした浅田真央(中京大)が金メダルを獲得した。フリーでもトップのスコアを出した浅田は自己ベストの216.69点で4年ぶりの世界女王。世界選手権3度目の優勝は日本人で最多記録となった。2位にはSP3位の15歳のユリア・リプニツカヤ(ロシア)が入り、ソチ五輪銅メダリストのカロリーナ・コストナー(イタリア)がSPから1つ順位を下げ、3位になった。その他の日本人は鈴木明子(邦和スポーツランド)が6位、村上佳菜子(中京大)が10位だった。
“ラストダンス”でも、やはり観客を魅了した。ソチ五輪ではメダルに届かなかった浅田。それでもフリーでのパフォーマンスは、多くの感動を呼んだ。ソチでは涙を流した浅田だったが、1カ月後の埼玉の地では笑顔で演技を終えた。

「2つ自分がやりきったと思える演技をすることが目標だった」という今大会。SPでは78.66点の世界歴代最高得点をマークした。そして、この日のフリーの滑走は21番目だった。ソチと同じ衣装の青と黒のドレスを纏い、セルゲイ・ラフマニノフの『ピアノ協奏曲第2番』で踊った。

 最初のトリプルアプセルは回転不足と判定されたが、きれいに着氷した。観衆の拍手とともにリズムに乗った。その後はダブルアクセルでバランスを崩すなど、ミスもあったが、そのほかのジャンプではミスなくまとめた。

 終盤のステップはピアノの旋律に乗るように舞い、観客からはそのリズムに合わせて手拍子が送られた。「沢山のかたの応援が力になった」。ソチのフリーに続く自身も納得の演技で今シーズンを締めくくった。

 フリーもトップの138.03点を出し、トータルで自己ベストとなる216.69点。8回目の世界選手権で3度目の制覇を成し遂げた。

 今シーズンを振り返り「悔しかったり、うれしかったり色々なことがあった」という浅田。それを乗り越えて満足のいくパフォーマンスができたことで得た喜びは大きい。改めて「フィギュアスケートっていいなと思いました」と実感したという。

 今後の去就も注目されるところだが、「終わったばかりなので、何ともとも言えない。じっくり考えたいと思います」と答えを保留した。年齢はまだ23歳。彼女へのアンコールはまだ鳴り止まないだろう。