3月31日(月)
【高校野球】
◇準々決勝
 逆転で40年ぶりのベスト4
桐生第一(栃木)    4 = 0400000000
龍谷大平安(京都)   5 = 0110002001× (延長10回)
 甲子園初登板となった両先発投手が、初回はランナーを出しながらも結果的には3人で攻撃を終わらせ、まずまずの立ち上がりを見せた。しかし2回表、桐生第一打線が龍谷大平安の先発・元氏玲仁(2年)をとらえる。1死二、三塁から7番・久保田晋司(2年)が先制タイムリー。2死一、三塁からは9番・東宮万夫(3年)が走者一掃となるタイムリー二塁打を放ち、2点を挙げる。その後、相手のミスもあり、さらに1点を追加した桐生第一が一挙4点をリードした。2回裏、平安は1死二塁から6番・常仁志(3年)のタイムリーで1点を返した。3回裏には1死一、二塁からダブルスチールを決め、得意の足技でチャンスを広げると、3番・姫野大成(3年)の犠飛で1点を追加した。4回以降は両校ともに継投策を投じ、追加点を許さない。再び試合が動いたのは7回裏だった。桐生第一は4番手にエース山田知輝(2年)をマウンドに上げる。再試合となった2回戦では、2日合わせて275球をひとりで投げ抜いた山田。その2年生エースを平安打線が攻める。先頭の1番・徳本健太朗(3年)がヒットで出塁すると、すかさず盗塁を決める。すると、桐生第一の守備にミスが出る。2番・大谷司(3年)のゴロを遊撃手がファンブルし、一、二塁に。さらに捕手から二塁へのけん制が悪送球となり、ランナーがそれぞれ進塁し、無死二、三塁とした。1死後、4番・河合泰聖(3年)の打球はボテボテのゴロに。しかし、これを三塁手がホームへ送球するも、三塁ランナーはセーフとなり、1点差となる。なおも1死一、三塁から平安は、5番・中口大地(3年)の犠飛で同点とし、ついに試合を振り出しに戻した。そして試合は4−4のまま、第3試合に続いて延長戦となった。10回表、先頭の3番・柳谷参助(2年)がヒットで出塁すると、続く4番・山田が送りバントを決めて、桐生第一は1死二塁とした。しかし、7回からリリーフした平安の3番手・高橋奎二(2年)が粘りの投球でピンチを凌ぐ。その裏、平安は河合が内野安打で出塁すると、山田の暴投で二塁へ。さらに中口の送りバントで三塁に進み、一打サヨナラのチャンスとした。続く常を四球で出した桐生第一の2年生バッテリーは次打者を敬遠して満塁策をとり、8番・高橋佑八(3年)との勝負を選んだ。だが、その高橋への初球、スライダーがワンバウンドとなり、捕手が後逸。三塁ランナーが返り、平安がサヨナラ勝ちを収めて、40年ぶりとなるベスト4進出を決めた。

 延長戦制し、初のベスト4
佐野日大(栃木)   7 = 11200010002
明徳義塾(高知)   5 = 10000400000 (延長11回)

 序盤、試合の主導権を握ったのは佐野日大だった。1死二塁から3番・吉田叡生(3年)の鋭い打球がライトへ。やや前進守備をしていた明徳義塾の右翼手がこれを後逸し、二塁ランナーが先制のホームを踏んだ。しかしその裏、ランナーと交錯した佐野日大の一塁手が足を痛め、1死無走者の場面で試合は一時中断した。これでリズムが乱れたのか、試合再開して最初の打者をエース田嶋大樹(3年)が四球で出してしまった。次打者には送りバントを決められて2死二塁となると、4番・西岡創太(3年)に同点タイムリーを打たれた。しかし2回表、2死二塁から9番・佐川昌(3年)が右中間を抜けるタイムリー二塁打を放ち、佐野日大が再び1点を勝ち越した。3回表には6番・田村、7番・柿沢郁也(2年)の連続タイムリーで2点を追加する。一方、5回まで1安打に抑えられていた明徳義塾だったが、6回裏、見事な集中打で反撃する。1死から西岡が初回に続いてチーム2本目となるヒットを放つと、5番・岸潤一郎(3年)、6番・安田孝之(3年)も続き、満塁と絶好のチャンスをつくる。7番・森奨真(3年)、8番・水野克也(3年)の連続タイムリーで3点を挙げ、一気に試合を振り出しに戻した。なおも1死一、三塁。9番・大谷勇希(3年)は遊ゴロに倒れるも、併殺崩れの間に三塁ランナーが返る。この回一挙5点を挙げた明徳義塾が逆転に成功した。だが7回表、佐野日大は4番・稲葉恒成(3年)の犠飛ですぐさま同点とした。そして試合は5−5のまま両校にとって2度目となる延長へと入った。10回裏、明徳義塾打線に再び火がつき、1死から3連打で満塁とした。しかし、佐野日大が好守備を見せる。次打者・森の打球はショートへ。これを遊撃手が倒れ込みながら捕球すると、自ら二塁ベースを踏み、すぐさま一塁へ送球。ダブルプレーとなり、最大のピンチを凌いだ。ピンチのあとにチャンスあり。11回表、今度は佐野日大が2死ながら満塁とした。稲葉の打球はボテボテの内野ゴロに。しかし、これが功を奏した。捕球した遊撃手がどこにも投げることができず、三塁ランナーが生還。さらに5番・小泉奎太(3年)のタイムリーで1点を追加し、佐野日大が2点を勝ち越した。そしてその裏、エース田嶋が三者凡退に切ってとり、初のベスト4進出を決めた。

 初出場・豊川、投打かみ合い初の4強
豊川(愛知)   0 = 000000000
沖縄尚学   12 = 03102141×

 初出場の豊川が2試合連続で完投し、防御率0.50と好投を見せてきた沖縄尚学のエース山城大智(3年)の立ち上がりを攻め、序盤に試合の主導権を握った。まずは初回、1番・中村胤哉(3年)が試合開始のサイレンが鳴り響く中、ヒットで出塁。次打者が送りバントを決めて1死二塁とした。暴投で中村が三進すると、3番・氷見泰介(3年)のタイムリーで1点を先制した。さらに4、5番にもヒットが出て2点を追加し、豊川は一挙3点をリードした。2回表、2死無走者からヒットと死球で一、二塁とした豊川は、氷見の2打席連続のタイムリーで1点を追加。さらにライトからの送球を捕手が大きく後逸。その間に一塁ランナーも生還し、リードを5点に広げた。3回表、沖縄尚学は山城からライトに入っていた久保柊人(3年)にスイッチした。しかし、その山田も豊川打線の勢いを止めることができない。ヒットと送りバントで1死二塁のピンチを迎えると、7番・山田大地(3年)に初球の直球を右中間へ運ばれ、1点を失った。しかし4回裏、沖縄尚学は1死二塁から5番・上原康汰(3年)のタイムリーで1点を返す。さらに8回裏にも1死二塁から、3番・西平大樹(3年)がレフトオーバーのタイムリー二塁打を放ち、1点を返した。久保も4回以降は豊川打線をゼロに抑えた。4点を負って迎えた9回裏、沖縄尚学は先頭の6番・砂川修(3年)が執念の内野安打で出塁するも、代打・渕上大蔵(3年)はボテボテの内野ゴロに倒れて6−4−3の併殺打となり、2死無走者となった。だが、沖縄尚学は諦めない。途中出場の8番・金城太希(3年)、9番・中村将己(2年)が連打を放ち、一、二塁とした。しかし、反撃もここまでだった。最後は赤嶺が二ゴロに倒れて、ゲームセット。打っては12安打6得点、投げてはエース田中空良(3年)が9安打を打たれながらも粘りの投球で2失点に抑えた豊川が、初の4強入りを果たした。

 3番・吉田、3安打4打点の活躍
福知山成美(京都)   2 = 000000020
履正社(大阪)      6 = 14000100×

 近畿勢同士の対決となった準々決勝の第1試合。履正社打線が福知山成美のエース石原丈路(3年)の立ち上がりを攻めた。1回裏、四球と送りバントで1死二塁とすると、3番・吉田有輝(3年)が初球、甘く真ん中に入ってきた直球をジャストミート。あわやホームランかというセンターフェンス直撃の三塁打を放ち、履正社が先制した。さらに2回裏、2死満塁から吉田が2打席連続となる三塁打、走者一掃のタイムリーとなり、3点を追加。さらに4番・中山翔太(3年)にもタイムリーが出て、履正社はこの回一挙4点を挙げて、リードを5点に広げた。一方、福知山成美は毎回のようにランナーを出すも、併殺など履正社の好守備に阻まれ、あと1本が出ず。履正社の2年生エース溝田悠人から得点を奪うことができなかった。履正社は6回裏、2死無走者から四球でランナーを出すと、吉田、中山の連打で1点を追加した。8回表、福知山成美はこの試合初めて連打が出て、無死一、三塁と絶好のチャンスをつくる。ここで代打・中島僚祐(2年)が外角高めの直球をセンター前へ。二塁ランナーが返り、福知山成美に待望の得点が入る。なおも無死一、二塁。ここで履正社は2番手・永谷暢章(2年)にスイッチした。永谷は強気に直球で押すピッチングで2死を取る。しかし、5番・西元正輝(2年)のボテボテの打球を二塁手がつかみ損ね、エラーで三塁ランナーが生還。履正社のリードは4点となった。しかし9回裏、永谷が三者連続三振という最高のピッチングで締め、履正社が春は3年ぶり2度目となるベスト4進出を決めた。