現地時間8日、全米オープンテニス女子シングルス決勝が行われ、第20シードの大坂なおみ(日清食品グループ)が第17シードのセリーナ・ウィリアムズ(アメリカ)を6-2、6-4のストレートで破った。グランドスラムのシングルス制覇は日本人初。

 

 憧れを破ってのグランドスラム初制覇を成し遂げた。大坂のアイドルは元世界ランキング1位、グランドスラム23度(シングルスのみ)を誇るS・ウィリアムズ。通算3度目の直接対決はグランドスラム、S・ウィリアムズが6度制している全米オープンのファイナルが舞台となった。

 

 初の決勝、相手はS・ウィリアムズ。硬さが見られてもおかしくはないが、大坂は第1セットを先に奪う。ゲームカウント1-1から2連続ブレーク。自身は着実にサービスゲームをキープし、5ー1と突き放した。続くゲームはS・ウィリアムズに取られたものの、このセットは6ー2で制した。

 

 第2セットは波乱の展開となった。第4ゲーム、先にブレークしたのはS・ウィリアムズ。しかし元女王は波に乗れない。第5ゲームはダブルスフォルトなどで自滅した。イライラが募ったS・ウィリアムズはラケットをコートに叩き付けた。

 

 これが2度目の警告となり、第6ゲームは大坂の15-0からスタートした。直後、S・ウィリアムズは主審に猛抗議。陣営からアドバイスを受けたとして与えられた1度目の警告に納得がいかない様子だった。大坂が冷静にラブゲームでキープ。すると第7ゲームはブレークに成功し、ゲームカウント4ー3とリードを奪った。

 

 ゲーム終了後、S・ウィリアムズは再び主審に猛抗議した。怒りが収まらず、「あなたは嘘つき」「謝って」 と暴言を吐いた。主審はペナルティーで第8ゲームは大坂に与える。会場からはブーイングが飛び交う異様な雰囲気となった。

 

 第9ゲームを落とした大坂だったが、第10ゲームをきっちりサービスキープ。試合を決めた。終始ストロークは安定し、S・ウィリアムズを苦しめた。最後のサービスをS・ウィリアムズが返せなかった瞬間、サンバイザーのつばを下げて目元を隠した。

 

 元女王を下してのグランドスラム初制覇だ。シングルスでは日本人初の偉業である。この結果により大坂の世界ランキングは自己最高の7位にまで上がる見通し。20歳の新鋭が勢いに乗って、“大坂時代”を築くのか。

 

(文/杉浦泰介)