4月2日(水)
【高校野球】
◇決勝
 エース中田、8回1死満塁のピンチ救う好リリーフ
龍谷大平安(京都)   6 = 201100002
履正社(大阪)      2 = 010010000
【本塁打】
(平)河合
 箕島(和歌山)と浪商(大阪、現大体大浪商)が対戦した1979年以来、実に35年ぶりとなった近畿勢同士の決勝戦。先制したのは今大会最多となる38度目にして初の決勝進出を果たした龍谷大平安だった。1回表、平安は1番・徳本健太朗(3年)がいきなり三塁打でチャンスをつくると、2番・大谷司(3年)の内野安打の間に徳本が先制のホームを踏む。この展開に動揺の色を隠せない履正社の2年生エース溝田悠人はコントロールが定まらない。送りバントを決められた後、二者連続の四球で満塁としてしまう。そして6番・常仁志(3年)には死球。押し出しで2点目を失った。2回裏、履正社打線が平安の先発、高橋奎二(2年)をとらえる。ヒットと送りバントで1死二塁とすると、8番・絹田翔太(3年)のタイムリーで1点を返した。

 だが、履正社は安定感に定評のある溝田の制球力が戻らない。3回表、1死から再び二者連続の四球を出してしまう。次打者を内野ゴロに打ち取るも、狙ったダブルプレーが取れず、2死一、三塁に。ここで7番・石川拓弥(3年)にタイムリーを打たれ、3点目を奪われた。その裏、履正社はすかさず反撃する。この試合初めての連打で無死一、三塁とした。すると、平安は前日完投した高橋に代えて、2番手・元氏玲仁(2年)をマウンドに上げた。その元氏の初球、履正社はスクイズを狙う。ところが、打球は元氏の真正面へ。三塁ランナーは返ることができず、送りバントのかたちとなって、1死二、三塁となった。続く5番・西村卓浩(2年)の三ゴロの間に三塁ランナーがホームを狙うも、タッチアウト。なおも2死一、三塁とするも、6番・八田夏(3年)が内野ゴロに倒れ、履正社はチャンスを生かすことができなかった。ピンチを凌いだ平安は4回表、1点を追加する。5回裏には履正社も1点を返し、再び2点差とした。6回以降は両者ともに毎回ランナーを出すも、なかなか得点につなげることができない。

 8回裏、履正社は内野安打と四球で1死一、二塁とした。ここで平安は3番手に甲子園初登板となる犬塚貴哉(3年)をマウンドに上げた。犬塚は四球を出して満塁とすると、次打者に対しても2球続けてボールとなる。このピンチを救ったのはエースだった。平安はここで犬塚から中田竜次(3年)にすかさずスイッチした。中田は初球、ボールとなるも、立て続けにストライクを取り、フルカウントに。そして最後はスライダーで空振り三振に切って取った。さらに次打者もピッチャーゴロに打ち取り、1死満塁というピンチをしのぎ切った。そして9回表には4番・河合泰聖(3年)がダメ押しとなる2ラン。主砲がエースの奮闘に応え、リードを4点に広げた。9回裏、履正社は先頭の2番・井上和弥(3年)がヒットで出塁するも、後続が続かなかった。ショートフライ、ショートライナー、そして最後はセンターフライ。平安の中堅手のグラブに打球が収まった瞬間、平安の優勝が決まった。夏は3度優勝経験のある平安だが、春は38度目の挑戦にして初めて頂点に立った。