2020年東京五輪・パラリンピック競技大会組織委員会と国際オリンピック委員会(IOC)は、最初の事務折衝となる「第1回プロジェクトレビュー」を行った。今月2日から4日までの3日間で、選手村予定地や会場を視察した。最終日の4日には、都内のホテルで合同記者会見を開き、組織委の森喜朗会長やIOCのジョン・コーツ副会長らが出席した。森会長が「非常に有意義な話し合いができた」と3日間を振り返ると、東京五輪調整委員会の委員長でもあるコーツ副会長は「何の課題もない」と大会成功に太鼓判を押した。現在も議論されている野球・ソフトボールの五輪種目復活については、今回は議題には挙がらず12月に行なわれるモナコでの臨時総会で結論が出る見通し。今後は6月に東京五輪調整委員会のメンバーが来日し、第1回の東京訪問を行う。
(写真:左からIOC・コーツ副会長、組織委・森喜朗会長と武藤事務総長)
 開催都市決定から大会開催までの7年間で、10回行なわれるのが調整委員会だ。今年6月に調整委員会が訪問する前に、事務レベルで折衝するのがプロジェクトレビューだ。第1回の今回は、2日から行われた。IOC側からはコーツ副会長、アレックス・ギラディ委員、ジルベール・フェリ五輪競技大会エグゼクティブディレクターらが参加。3日間で選手村予定地の晴海や内陸部、臨海部の会場を視察した。

 今回の会議の中ではガバナンス、財務、商業活動、宿泊、レガシー、医療、セキュリティなどテーマごとに東京側からプレゼンテーションを行い、IOC側と話し合いをしたという。組織委の武藤事務総長は「どれが大きかったというよりは、第1回目ですので全体について意見交換をした。何よりもそれぞれの組織が何を考えているのか、どのような組織になっているのか。相互の理解がすすんだと思います」と手応えを口にした。

 森会長も3日間の総括を終え、「非常に有意義な話し合いができた。準備段階のものをひとつひとつコーツ委員長をはじめ、皆さんにオーソライズ(公認)していただきました」と語る。コーツ副会長は「特に具体的な要望は出しておりません。本当に進捗状況、準備状況については満足しています。言うなれば成功するであろう大会の土台は十分整備され、舞台はできたと思っております」と述べた。

 1日にはIOCマーケティング委員長に、組織委員会副会長の竹田恆和JOC会長が任命された。IOCのコーツ副会長は「IOCにとっても、竹田さんにとっても非常に意味があるものだと思います。いかにJOCがマーケティングのキャンペーンを行ってきたかということの表れ。またそれだけの経験を持っておられるということです」と就任を喜んだ。マーケティング委員長はスポンサーを管理する要職。世界のスポンサーとのコネクションが広がる利点は、組織委にとって大きい。その利点をコーツ副会長は「それと同時に国際的なスポンサーが組織委員会に協力してもらえるきっかけになる」と語った。

 森会長は「コーツチームと森チーム。同じ船に乗って、これから6年間、2020年まで一緒に頑張って歩みたい。そういう意味で良きパートナーになっていだきたいということをお願い申し上げました」と言う。大会成功へ向けて“チームジャパン”という船は、まだ漕ぎ始めたばかり。嵐が訪れても、沈まない確固たる基盤を築きたい。

(文・写真/杉浦泰介)