四国アイランドリーグplusの香川オリーブガイナーズから中日に入団した又吉克樹が17日、ナゴヤドームでの横浜DeNA戦でNPB初勝利をあげた。リーグからドラフトを経て入団した選手が勝ち投手となったのは、福岡ソフトバンクの金無英(元福岡)に続き、2人目。ルーキーイヤーに勝利をあげるのは初の快挙となった。この日の又吉は4−5と1点ビハインドの9回に登板。ランナーを得点圏に背負いながら0点に抑えると、その裏に中日が6−5で逆転サヨナラ勝ちを収め、白星を手にした。
 ドラフト2位で中日入りした又吉はサイドから繰り出すキレのあるボールを武器にオープン戦で結果を残し、開幕1軍入りを勝ち取った。開幕2戦目(3月29日)の広島戦でデビューを果たすと、ここまでリーグトップタイの10試合に登板。イニング数(16回3分の1)を上回る18個の三振を奪い、中日のブルペンには欠かせない存在となっている。

 この日はチームが1点リードを許した場面でマウンドへ。「まずはゼロに抑えて、裏の攻撃につなげようと思った。思い切り腕を振ることだけを考えた」と、代打の下園辰哉、トップバッターの荒波翔と左バッターをストレートで内野ゴロに仕留める。続く白崎浩之にはセンターオーバーの二塁打を打たれたものの、前の打席でタイムリーを放っている梶谷隆幸を追い込み、アウトコースいっぱいのストレートで見逃し三振に切って取る。

 与えられた役割をきっちりこなすと、その裏、味方打線がDeNAの守護神ホルヘ・ソーサを攻略。1死2塁からエクトル・ルナの同点二塁打、続く平田良介のライト前タイムリーで試合をひっくり返した。

 勝利の瞬間、「頭が真っ白になった」という又吉は、ベンチでウイニングボールを受け取ると、平田とともにお立ち台に上がった。初勝利に「1試合でも勝利の小さな手伝いができればと思っていたので、いいご褒美をもらえました」と感激の面持ち。「また、こういうボールをいただけるように頑張ります」と決意を新たにしていた。

 谷繁元信兼任監督は「苦しい場面で投げているが、毎試合、勉強しながら必死で投げている」とルーキー右腕を評価する。記念の1勝をステップアップに、今後も大事な場面を任される機会が続きそうだ。

>>開幕前の特集記事「アイランドリーグ出身選手たちは今 〜又吉克樹(中日)編〜」はこちら(2014年3月)
>>入団前の特集記事「中日2位・又吉、目指すは“便利屋”」はこちら(2013年11月)