ニューヨーク・ヤンキースの田中将大が23日、敵地でのボストン・レッドソックス戦に先発し、8回途中7安打2失点で無傷の3勝目をあげた。試合は9−3でヤンキースが快勝した。田中は4回に相手の主砲デイビッド・オルティス、マイク・ナポリに連続ホームランを浴びたが、それ以外は低めにボールを集め、危なげないピッチングでレッドソックス打線を抑えた。同じくヤンキースのイチローは8番・ライトで出場し、4打数2安打、レッドソックスの田澤純一は9回に登板して1回1安打無失点だった。
 異様な雰囲気に包まれる宿敵レッドソックスの本拠地フェンウェイパークでも、いつもと変わらぬ快投をみせた。
 立ち上がりは1死後、2番のダスティン・ペドロイアにレフトへ二塁打を許したものの、オルティス、ナポリの中軸をスプリットで連続三振に切って取る。3回も1死からヒットを打たれたが、1番のグレイディ・サイズモアに外のスライダーをひっかけさせて注文通りのダブルプレー。序盤3イニングを0点に封じた。

 ルーキーの好投に導かれるように、ヤンキース打線は初回、3回と2点ずつをあげ、4−0とリードを広げる。このまま、田中がスイスイと抑え切ってしまうかに思えた4回、レッドソックスも意地をみせる。1死からオルティスに対して3−1とカウントを悪くし、ストライクを取りに行ったストレートが甘く入った。打球は右中間スタンドへ飛び込むソロアーチ。続くナポリもストレートをとらえ、レフトのグリーンモンスターを越す特大の一発を放った。

 連続ホームランで4−2と一気に2点差。さらに2死後、A.J.ピアジンスキーもあわやホームランかというグリーンモンスター直撃の二塁打を放ち、田中に襲いかかる。だが、ここでズルズルいかないのが田中が勝てる要因だ。迎えたザンダー・ボガーツをインローのストレートで見逃し三振。きっちりと後続を断った。

 この日も田中は無四球。制球力の良さが光る。キープダウンでボールが高めに浮かず、コーナーにしっかりとコントローできているため、連打を浴びることも少ない。7安打を打たれたものの、連続ホームランを除けば、すべて単発だった。5回以降も0を重ね、8回のマウンドに上がると、先頭のサイズモアをスプリットで空振り三振。球数が100球を超えたため、ここで交代となった。

 降板時、敵地では異例の拍手も起きた。日本からやってきた右腕のすごさをヤンキースファンのみならず、全米が認めつつある。