２日、日本サッカー協会はニュージーランド女子代表との国際親善試合（８日、大阪・金鳥スタジアム）およびAFC女子アジアカップ（14日〜、ベトナム）に臨むなでしこジャパン（日本女子代表）のメンバー23名を発表した。アジア杯は15年Ｗ杯（カナダ）のアジア予選を兼ねており、５位までが出場権を得る。国内組からはMF宮間あや（岡山湯郷）、DF岩清水梓（日テレ）を選出。DF乗松瑠華（浦和）、MF猶本光（浦和）ら４名を初招集した。一方、海外組はアジア杯がFIFAの定めるインターナショナルマッチデーではないため、JFAが各クラブと交渉の末にMF川澄奈穂美（シアトル）、MF木龍七瀬（スカイブルー）、DF宇津木瑠美（モンペリエ）、FW大儀見優季（チェルシー）を選出した。日本はNZ戦後にベトナムへ入り、14日にオーストラリア女子代表とアジア杯初戦を戦う。
「FIFAからは『アジア杯を国際Ａマッチデーにするのは難しい。個別に所属クラブと交渉して下さい』と言われた。JFAとしては海外クラブでプレーする10名の選手に招集レターを送り、最終的にクラブと直接交渉したが、６名は招集に応じてもらえなかった」
発表に先立ち、上田栄治JFA理事がメンバー構成に関する事情をこう説明した。これにより、今まで選出されてきたFW大野忍（アーセナル）、FW岩渕真奈（ホッフェンハイム）、MF田中明日菜（フランクフルト）、DF熊谷紗希（リヨン）ら抜きでアジア杯に臨むことになった。
こういった状況を受けて、佐々木則夫監督は初選出や代表経験の浅い選手も招集した。指揮官が「かなり期待を込めたメンバー」という初選出の４名は現在、なでしこリーグで５連勝中の浦和レッズレディースから選出した。中でも、注目されるのが20歳の猶本だ。猶本は主力として10年Ｕ−17女子Ｗ杯準優勝、12年Ｕ−20女子Ｗ杯３位に貢献。ボランチの位置からの攻撃参加が特長の選手だ。浦和でも中心として活躍し、佐々木監督も「浦和で決定的な仕事をしている」と高評価を与えた。ボランチは宮間、MF阪口夢穂（日テレ）、MF澤穂希（INAC神戸）らがいる激戦区だが、アジア杯はGLは中１日の強行日程。状況によっては、猶本を含めた初選出組もなでしこデビューを果たす可能性はあるだろう。
大会に向けて懸念されるのは、FWだ。なんとかエース・大儀見を招集できたものの、彼女の参加期間はGL３試合のみ。GLを２以上で通過して準決勝に進めばＷ杯出場権を獲得できる。しかし、GL３位となった場合は、もう一組の３位チームと５位決定戦を行い、出場権を争う。そうなった時は、大儀見が出場できないのだ。今回、大儀見の他にFW登録で選出されたのは丸山桂里奈（大阪高槻）、菅澤優衣香（千葉・市原）、高瀬愛実（INAC神戸）、吉良知夏（浦和）。彼女たちが大儀見が去った後の穴を埋められるかが、Ｗ杯出場権獲得、そして初のアジア制覇のポイントだ。
「（大儀見が離脱した後は）残りの選手でさらにパワーアップしてやってもらわないと困る。責任感もそこで出てくるはず。僕はそんなに（大儀見が途中離脱することを）恐れていない」
佐々木監督はこのように述べた。厳しい日程を乗り切るには、FW陣のみならず、チームがひとつになって戦わなければならない。「GLを１位通過してＷ杯出場権を獲得し、優勝する」と指揮官。Ｗ杯連覇へ向けて、まずはアジアを制覇できるか。
【なでしこジャパンメンバー23名】GK
福元美穂（岡山湯郷Belle）
海堀あゆみ（INAC神戸レオネッサ）
山根恵里奈（ジェフユナイテッド千葉・市原レディース）
DF
上尾野辺めぐみ（アルビレックス新潟レディース）
岩清水梓（日テレ・ベレーザ）
有吉佐織（日テレ・ベレーザ）
宇津木瑠美（モンペリエHSC）※５月６日午前練習から合流予定
長船加奈（ベガルタ仙台レディース）
高畑志帆（浦和レッズレディース）
乗松瑠華（浦和レッズレディース）
MF
澤穂希（INAC神戸レオネッサ）
宮間あや（岡山湯郷Belle）
川澄奈穂美（シアトル・レインFC）※５月６日午前練習から合流予定
阪口夢穂（日テレ・ベレーザ）
川村優理（ベガルタ仙台レディース）
木龍七瀬（スカイブルーFC）※５月９日から合流予定
中島依美（INAC神戸レオネッサ）
猶本光（浦和レッズレディース）
FW
丸山桂里奈（スペランツァFC大阪高槻）
大儀見優季（チェルシーレディースFC）※５月13〜19日合流予定
菅澤優衣香（ジェフユナイテッド千葉・市原レディース）
高瀬愛実（INAC神戸レオネッサ）
吉良知夏（浦和レッズレディース）
【アジア杯日程】
グループリーグ
・第１戦 対オーストラリア女子代表（５月14日）
・第２戦 対ベトナム女子代表（同16日）
・第３戦 対ヨルダン女子代表（同18日）
・５位決定戦（同21日）
・準決勝（同22日）
・決勝、３位決定戦（同25日）