目下、NPBは日本シリーズの真っ最中です。福岡ソフトバンクと古巣・広島との対戦、お互いなかなかいい戦いをしていますね。私は現役時代、日本シリーズには3回出場していますが、当時はクライマックスシリーズがなくて、レギュラーシーズンが終わった後、日本シリーズまでかなり間が空いたのを覚えています。だから初戦というのはいつも"試合に入っていきにくいなぁ"と感じていました。今はCSがあるので、そう感じる選手は少ないでしょうね。

 

  強打・群馬相手に奮闘

 さて、10月7~8日と13~14日、独立リーグ日本一を決める「グランドチャンピオンシップ」が行われました。こちらも"日本シリーズ"です。6年ぶりにアイランドリーグplus年間王者となった香川オリーブガイナーズはBCリーグ王者の群馬ダイヤモンドペガサスと対戦しました。結果は1分3敗と完敗でしたが、群馬の強さを肌で感じるとともに、香川の選手たちも存分に戦ってくれたと思っています。

 

 短期決戦、しかも対戦データの少ない相手ですから、ディフェンスがしっかりしていないとズルズルとやられてしまいます。しかも群馬は強打で鳴らすチームですからね。それを相手に第1戦は2対4、第2戦は0対3、第4戦は2対4とロースコアゲームに持っていき、引き分けた第3戦は6対6と強打の群馬と真っ向から点の取り合いができた。香川の選手たちは本当に良くやりましたよ。

 

 地元レクザムスタジアムで行われた第1戦、先発は畝章真でした。今季、最多勝と最多奪三振のタイトルをとったエースの秀伍は、シーズンの疲れも考慮して翌週の敵地・群馬の初戦と決めていました。先発の畝から短いイニングで継投して、相手のクリーンアップを抑えたものの、1番、2番の選手にやられました。続く第2戦は群馬の先発アレックス・トーレスに無四球完封を喰らいました。うちの先発・森崎友星も7回1安打と好投しましたが、相手の方が上でしたね。トーレスはアイランドリーグから中日に入ったドリュー・ネイラーのように、独立リーグではケタ違いの実力。そのピッチャーが絶好調となれば、なかなか打ち崩すのは難しい。結局、独立リーグ日本一は果たせませんでしたが、また来季、それを目標として頑張ります。

 

 ドラフトはタイミング

 10月25日にはNPBドラフト会議が行われました。香川から指名選手は出ず、アイランドリーグ全体でも徳島の鎌田光津希(千葉ロッテ育成1位)だけでした。ドラフトは選手の実力もそうですが、NPB球団の求める戦力、需要と供給のバランスに左右されます。今季、首位打者をとった妹尾克哉(香川)は俊足巧打堅守で、スカウトも注目する選手です。しかも19歳とまだまだ若い。今年、中日が根尾昂(大阪桐蔭高)の交渉権を獲得しましたが、あれが外れていたら妹尾の指名もあったかな、と想像しました。まあタラレバを言っても仕方ありませんので、妹尾はこの悔しさを次にいかして、そしてまた来年、彼を鍛えて、今度こそNPBの指名を受けさせたいですね。

 

 それにしてもアイランドリーグ全体で指名された選手が1名というのは、リーグに関わる者として考えなければならないな、と感じています。独立リーグは地域に愛される強いチーム作り、それとドラフトに向けた選手育成、この2つが柱になります。特にドラフト会議は世間の注目もあるので、リーグとしてもしっかりと力を入れたいポイントです。

 

 ただ「選手を育てる」と言っても、それは簡単なことじゃありません。香川にも加藤次郎、原田宥希などウチに入って大きく育った選手がいます。でも年齢だったり、そのときの補強ポイントの関係で指名漏れとなってしまう。リーグとして選手の見せ方を考え、NPB補強ポイントを加味した上で選手育成を図るなどの再構築も必要かもしれません。編成部の部長クラスに足を運んでもらったり、いろいろとアピールしていきたいですね。

 

 来季に向けて楽しみな選手がたくさんいます。先にあげた森崎はフェニックスリーグでも好投しましたし、畝はさらにスピードが伸びそうです。一芸に秀でた選手はいるので、石の上にも……ではありませんが、香川にも3年、アイランドリーグにも3年、NPBという夢に向けて頑張ってほしいですね。我々もそのためのサポートには力を惜しみません。でも、選手にも言っていますが、スカウトを気にしていると自分のプレーができなくなります。グラウンドでは思い切って、それが結果的にアピールにつながるんです。

 

 今シーズンも1年間、応援ありがとうございました。6年ぶりの年間王者となって、香川の皆さんの声援に応えられました。来季も期待以上の活躍ができるように頑張りますので、変わらぬ声援をお願いします。

 

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