新生日本代表を引っ張る3人のアタッカーと言えば、24歳の中島翔哉(ポルティモネンセ)、23歳の南野拓実(ザルツブルク)、そして20歳の堂安律(フローニンゲン)だ。

 中島はポルトガル、南野はオーストリア、堂安はオランダとそれぞれ所属リーグで活躍して森保ジャパンに招集された。

 

 ひょっとすると11月の親善試合(16日ベネズエラ戦、20日キルギス戦)で、ここにもう1人加わってくるかもしれない。

 今季フランクフルトからベルギーのシントトロイデンに期限付き移籍した22歳の鎌田大地だ。

 

 衝撃的なベルギーデビューだった。

 9月16日のヘント戦で後半15分から移籍後初出場。同35分、鎌田が左サイドでボールを受け取るとマークに来た相手、遅れてカバーに入った相手と2人かわしてからGKの動きを見て冷静に初ゴールを決めた。28日のクラブ・ブルージュ戦まで3試合連続ゴールを挙げ、「鎌田株」を一気に引き上げている。

 

 シントトロイデンと言えば、日本企業のDMM.comが経営権を取得し、5人の日本人選手が所属している(冨安健洋、遠藤航、関根貴大、小池裕太、鎌田)。冨安と遠藤の2人は9、10月の親善試合で招集されており、絶好調の鎌田が呼ばれる可能性もあると言える。

 

 鎌田はサガン鳥栖時代から注目されてきた逸材だ。

 しかし昨年6月に移籍したフランクフルトでは不遇の1シーズンを過ごした。ブンデスリーガ開幕戦で先発デビューを果たしたものの、公式戦は4試合に出場したのみに終わっている。

 

 シーズン終了後、彼はこう語っていた。

「僕、別に昔から(経歴が)エリートのように来ていないんで、うまくいかないこともいつもどおり。ただ正直、こんなに苦しむとは予想していなかったですけど。僕から見てもフランクフルトにはいいなと思う選手がいっぱいいて、そのレベルの高い環境でやってきた。見ているだけじゃ分からなかったことを経験できています。何とか耐えて、ケガもなく集中してシーズンを過ごせたのは次につながるのかなって感じています」

 

 うまくいかないことはいつもどおり。

 自分を見失うことなく、やるべきことをやる。

 そのひとつが上半身の強化であった。

 

 当たり負けしない体づくり。トレーニングで使うバーベルの重量も、50kgから70kgになった。次第に体も大きくなっていった。パワーもスピードもついた。

「僕の感覚としては、開幕戦に出させてもらいましたけど、まだチームについていけているような感覚があまりなくて、自信を持ってやれているとは言い切れなかった。(シーズン)前半戦の最後のほうから向こうのスピードにも慣れて、練習試合でも常に点を獲っていたんで出場時間も増えてくるかな、と。でも自分の感触とは真逆で、メンバーにも入れなくなった。“なんで?”とは思いましたよ。でも、やれることをやっておこう、と」

 試合に出ることができれば、活躍できる自信はずっとあった。

 

 勝負の2年目に臨む決意。しかしアディ・ヒュッター監督のもとで評価が上がらず、彼は断腸の思いでフランクフルトを去った。

 うっ憤を晴らすかのようなベルギーでの活躍は、地道に取り組んできたことの成果である。長身でテクニックがあり、プレーの力強さも出てきた。

 

 ベルギーで輝き続ければ、日本代表もきっと見えてくるはずだ。


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