3日、ラグビーの「リポビタンDチャレンジカップ2018」が東京・味の素スタジアムで行われ、世界ランキング11位の日本代表(ジャパン)が同1位のニュージーランド代表(オールブラックス)と対戦した。ジャパンはオールブラックスに31-69で完敗。ジャパンはキャップ数の少ない若手主体のオールブラックス相手とはいえ、過去最多得点&トライ(5)を挙げ、見せ場は作った。

 

 1年後のワールドカップ開幕戦を行う味の素スタジアムでジャパンは世界最強軍団を迎えた。オールブラックスはオーストラリア代表との対抗戦「ブレディースローカップ」のメンバーから1人残しただけで大幅に選手を入れ替えてきた。若手主体だが、代表入りに向けてモチベーションが高い選手が揃ったと言ってもいいだろう。いずれにしてもジャパンが挑む構図に変わりはない。

 

 前半早々に自陣でペナルティーを犯し、PGで先制を許した。このまま流れを持っていかれたくないジャパンはすぐさま反撃に出る。敵陣で相手選手がキックで距離を稼ごうとした。そのボールをFLアニセ・サムエラが叩き落とす。サムエラはこぼれ球を拾うと、相手のプレッシャーを制しながらインゴールへ運んだ。SO田村優のゴールキックも決まり、ジャパンが7ー3と逆転した。

 

 詰め掛けた4万人を超える観客を大きく沸かせた。大金星を期待させたのも、そう長くは続かなかった。15分のトライを奪われ、逆転を許すと7ー24とリードを広げられた。激しい当たりでブレイクダウン(タックル成立後の球際の奪い合い)を制し、スペースをキックとランで突いてくる。黒い波がジャパンに襲い掛かる。

 

 ジャパンはSH流大のパスからNo.8ツイ・ヘンドリック、CTBラファエレ・ティモシーがトライを挙げるなど意地を見せたものの、19ー38でダブルスコアで前半を終えた。

 

 オールブラックスはハーフタイムでWTBネヘ・ミルナーズカッターに代えてジョージ・ブリッジを投入。ブリッジは後半開始早々に左サイドを切り裂き、トライを奪う。ゴールキックも決まり、ジャパンは更にリードを広げられた。

 

 9分にジャパンのベンチも動く。この日がジャパンデビューの中島イシレリと経験豊富な田中史朗を送り、攻撃のリズムを変える。12分、その田中が起点となり、田村のキックパスが大外のWTBヘンリー・ジェイミーに渡り、インゴール右隅にトライ。沈みかけていたジャパンの応援団を盛り上げる。

 

 しかしオールブラックスはその後も攻め手を緩めることなく4トライ。ジャパンは30分にラファエレがこの日2本目のトライを奪ったが、反撃もここまでだった。最終スコアは31-69。対オールブラックス戦6連敗となった。

 

 過去6試合における最多得点とトライ数を挙げたものの、完敗を喫した。ブレイクダウンの攻防で優位に運べず、ペナルティーを繰り返した。またスペースを突く攻撃はジャパンの目指すもの。それを個人能力の高いオールブラックスにやられ、守備網を切り裂かれた。ラインアウトのボールキープ率も悪く、自らのミスで苦しんだ印象だ。

 

 ジャパンは今後イギリス遠征に向かい、前HCのエディ-・ジョーンズ監督率いるイングランド代表とワールドカップ開幕戦で対戦するロシア代表とテストマッチを行う。

 

(文/杉浦泰介)