(写真:高い精度を誇る竹山のキック。この日も7本全てを成功)

 ラグビーの関東大学対抗戦Aグループが4日、東京・秩父宮ラグビー場で行われた。7連覇中の帝京大学は早稲田大学との全勝対決を45-28で制した。同じく全勝だった明治大学が慶應義塾大学に24-28で逆転負けを喫したため、帝京大学は唯一の5連勝。次節の明大戦に勝てば、歴代最多の8連覇が決まる。

 

 深紅の王者が夏の雪辱

 

 対抗戦8連覇、全国大学選手権10連覇を目指す帝京大が、創部100周年の伝統校・早大を下した。

 

 前節は慶大との全勝対決だった帝京大。24-19で勝利したものの、終盤に追い詰められるなど苦戦した。この日の早大には夏のオープン戦で敗れていた。帝京大の岩出雅之監督は「力量不足がはっきり出た」と振り返る。そこから基本プレーを徹底していったという。キャプテンのLO秋山大地(4年)は「悔しさは持ち続けてきましたが、特別な想いではなく目の前の早稲田戦に集中しました」と語る。

 

(写真:2年生の快速WTB木村朋也も後半11分にトライ)

 迎えた早大戦は序盤からFW戦で圧倒した。前半6分に先制すると、13分にはPR淺岡俊亮(4年)がポスト左に潜り込んでトライを挙げる。20分と31分にはNo.8ブロディ・マクカラン(4年)がスクラムからトライ。FB竹山晃暉(4年)のゴールキックは全て決まり、前半を28-0と大きくリードして終えた。

 

 しかし、後半はエンジのジャージーに苦しめられる。5分、WTB長田智希(1年)にトライを許し、初失点。6分後にトライを奪い返し、再びリードを28点差に広げたが、15分にはラインアウトからCTB中野将伍(3年)にもトライを獲られた。

 

 19分に相手のミスからトライを挙げ、24分には竹山がPGをきっちり入れて勝負はほぼ決した。ただ26分と39分にもトライを奪われるなど試合の締め方としても納得できるものではないだろう。後半だけのスコアなら17-28で負けていた。前半は完璧に近い出来だったが、後半はノックオンなどのミスも目立った。

 

(写真:勝利監督インタビューに応じる岩出監督)

 開幕から負け知らずの5連勝は帝京大のみとなった。次節は春夏負けている明大戦だ。今年1月の大学選手権決勝で戦った相手。秋山が「今シーズンはAチームでは勝っていない。挑戦する気持ちをもって戦います」と意気込めば、岩出監督は「これまでの勝敗云々ではなく挑戦者」と続けた。王座を守るのではなく挑戦者として、新たにタイトルを奪いにく。この姿勢が伝統校を撃破し、帝京大を絶対王者に君臨させる所以なのかもしれない。

 

 踏みとどまった優勝戦線

 
 前節帝京大に惜しくも敗れた慶大は、4戦全勝の明大と対戦した。試合前の時点で帝京大、早大、明大が4勝で並んでおり、3勝1敗の慶大としては優勝争いに踏みとどまるために負けられない戦いが続く。
 
 明大と言えば、強力なFW陣を揃える重戦車のイメージがあるが、近年はボールを繋いで能力の高いBKを走らせる展開が見られる。キーマンはキャプテンのSH福田健太(4年)だ。自ら仕掛けられるタイプの司令塔で、決定力も高い。福田がハーフ団を組むSO忽那鐘太(4年)とWTB髙橋汰地(4年)、WTB山村知也(3年)、FB山沢京也(2年)のバックスリーをどう操るかもポイントだった。
 

(写真:川合<中央>は2トライ挙げる活躍)

 先制点は慶大が挙げた。敵陣で相手のラインアウトのスローが乱れると、ボールを奪ったFL川合秀和(4年)がそのままインゴールへ滑り込んだ。SO古田京(4年)のゴールキックも決まり、7点をリードした。15分に1トライを返されたが、20分にはマイボールラインアウトからFL山本凱(1年)がトライ。その後、1トライ1ゴールを互いに挙げて、慶大の21―12で試合を折り返した。
 
 後半は両軍ミスが目立ちなかなかスコアできない展開が続く。慶大は10分にフロントロー(FW前3人)のうち2人を同時交代。金沢篤HCは後半のスクラムを見て判断し、「フレッシュな人を入れて流れを変えたかった。元々の予定よりも早い決断」と試合後に明かした。
 
 しかし、後半最初の得点は明大に入った。20分に髙橋、更に28分には山沢にトライを奪われた。慶大は突破力のある明大のBK陣を止めることはできなかった。これで21-24と逆転を許してしまう。優勝戦線に踏みとどまるためには連敗はどうしても避けたいところである。
 

(写真:逆転勝利が決まった瞬間、喜びを爆発させた)

 終盤になると、慶大がスクラムで明大を押し込むようになる。すると35分、明大が自陣でペナルティーを犯す。慶大はスクラムからNo.8山中侃(4年)が抜け出してトライ。古田のコンバージョンも決まり、4点差をつけた。慶大は残りの数分間をしっかりと時間を使い、逃げ切った。
 
 金沢HCは「勝負どころでFWと一体となって頑張ってくれた」と終盤でのスクラムで押せたことを勝因に挙げた。春の王者で今シーズン公式戦無敗の明大に土をつけた。慶大は明大と、この後敗れた早大と1敗で並んだ。
 

(写真:何度もゲインした髙橋だが、チームを勝利に導けなかった)

 小雨がパラつく天気にも関わらず、慶明戦という伝統校の対戦に1万5000人を超える観客が集まった。今後の優勝戦線を占う試合だけに注目度も高かったのだろう。福田によれば「ビッグゲームで観客が多く雰囲気にのまれた」と明大フィフティーンには硬さが見られたという。
 
 明大にとっては帝京大、早大とビッグゲームが続く。この日の反省を生かしたい。まずは帝京大の連勝を食い止めたいところだ。春夏連勝している相手とはいえ、田中澄憲監督は「チャレンジするしかない。一戦一戦いい準備をするしかない」と口にした。

 

(文・写真/杉浦泰介)