3日、日本シリーズ第6戦がマツダスタジアムで行われ、福岡ソフトバンクが広島を2対0で下し、日本一に輝いた。ソフトバンクはこれで2年連続、前身の南海、ダイエー時代を含めて9度目の日本一となった。

 

◇第6戦
 MVPは甲斐。シリーズ新の6連続盗塁阻止 (ソフトバンク4勝1敗1分 マツダ)
福岡ソフトバンク 2 = 000|110|000
広島  0 = 000|000|000

勝利投手 バンデンハーク(1勝1敗)
敗戦投手 ジョンソン(1勝1敗)
セーブ  森(3S)
本塁打  (ソ)グラシアル1号ソロ

 

 ソフトバンクが本拠地3連勝を果たし、再びマツダスタジアムへ乗り込んだ第6戦。3勝1敗1分、勝てば日本一が決定する。あとのなくなった広島はクリス・ジョンソン、一気に決着をつけたいソフトバンクはリック・バンデンハークが先発した。第2戦と同じ顔合わせである。


 初回、ジョンソンは左腕対策でトップに入った川島慶三にフォアボールを与えるなど不安定な立ち上がり。一方のバンデンハークも田中広輔にヒットを打たれ、初回から波乱模様。2回は4人、3回はともに三者凡退に切ってとったが、4回表、ジョンソンがソフトバンク打線につかまった。

 

 先頭の4番・柳田悠岐がフォアボールを選んで出塁すると、中村晃がレフト前ヒットで無死一、二塁。ここで6番・内川聖一が今シリーズ2度目となる送りバントを決めて、1死ニ、三塁。続く、この日スタメン起用された西田哲朗が1ストライクの後、ジョンソンの高めのストレートをきっちりとピッチャー前に転がしてスクイズを成功。ソフトバンクが先制。1点をリードした。

 

 先制点をもらったバンデンハークは続く広島の攻撃を、先頭の菊池涼介を空振り三振に仕留め、さらに丸佳浩、鈴木誠也と3番、4番を連続して空振り三振に切り、無得点に抑えた。バンデンハークの好投でリズムに乗ったソフトバンクは5回表、さらに攻勢に出た。

 

 川島がレフトフライ、上林誠知がピッチャーゴロに倒れた2死後、打席に入ったのはジュリスベル・グラシアル。シリーズ不振の松田宣浩に代わってスタメンサードに入るなど、貢献するグラシアルは、1ボール2ストライクと追い込まれながら、ボールになるスライダーにくらいつき、打球はレフトスタンドへ。ソフトバンクが2対0と広島を突き放した。

 

 広島打線はバンデンハークの前に6回4安打無失点と突破口をつかめず、さらにこの日も初回に田中、2回には安部友裕が二盗を狙ったが、ともに甲斐拓也の強肩の前に盗塁死。機動力も封じられた赤ヘル打線は得点を奪えないまま終盤を迎えた。

 

 ソフトバンクは7回に武田翔太をマウンドに送り、4番・鈴木からの攻撃を三者凡退。8回、広島は先頭バッターに今季限りで引退の新井貴浩を代打に送り、マツダスタジアムのスタンドから大歓声があがった。新井は2ー2から武田のアウトローのストレートを打ち、ショートゴロ。ベンチに戻る新井には大きな拍手が送られた。

 

 2対0、日本一まであとアウト3つとなった9回裏、ソフトバンクは守護神・森唯斗をマウンドへ。森は菊池をサードゴロ、丸佳浩を空振り三振。2死で打席に入った鈴木は4球ファウルで粘ったものの、最後はインコースのストレートを打ちサードゴロ。途中からサードに回った西田が軽快にさばいて、ゲームセット。ソフトバンクが2年連続、球団史上初のレギュラーシーズン2位からの日本一を達成した。

 

 胴上げで15回、宙に舞った工藤公康監督は「シーズン終盤から満身創痍の選手たちが最後まで突っ走ってくれた。リーグ2位に終わって悔しい思いをしたので、とにかく日本一になってそれを晴らそうと強い思いがあった。広島も強く、いつ復調するのか、いつ逆転されるのかとドキドキしながら戦った。第二先発を待機させるなどの起用法は、投手コーチといろいろな話をして生まれた策。短期決戦ならではの形をコーチ陣が提案してくれた。日本一になれて、日本一、幸せな人間です」と喜びを語った。
(文/SC編集部・西崎)