(写真:年末に拳を交える41歳のメイウェザーと20歳の那須川)

 5日、格闘技団体『RIZIN』が東京・六本木ヒルズクラブで記者会見を開き、12月31日「RIZIN.14」(さいたまスーパーアリーナ)にプロボクシング50戦無敗のフロイド・メイウェザー・ジュニア(アメリカ)が電撃参戦することを発表した。また対戦相手には那須川天心が決まり、ルールとウエイトについては今後調整していくという。

 

 平成最後の大晦日興行の目玉カードが、この日発表された。既にメディアにはメイウェザーの参戦は明かされており、会見会場には多くの人が詰めかけた。メイウェザーが登壇すると、無数のシャッター音が響き渡った。

 

 5階級制覇王者で、50戦全勝(27KO)を記録している世界のスーパースターである。アメリカ経済誌のフォーブスが今年6月に発表した「スポーツ選手長者番付」でもNo.1。世界一稼ぐスポーツマンは「Money」とのニックネームで呼ばれている。抜群のスピードと鉄壁のディフェンスでオスカー・デラホーヤ(アメリカ)、ミゲール・コット(プエルトリコ)、サウル・“カネロ”・アルバレス(メキシコ)、マニー・パッキャオ(フィリピン)らを破ってきた。

 

『RIZIN』の榊原信行実行委員長は「我々の共通の想いはとにかくチャレンジ。新しいことに動き出そう、と。世界中の人を驚かせる」と豪語した。メイウェザーにとっても挑戦だ。プロ50戦のキャリアは全てアメリカの地で行ってきた。そんな彼が決戦の地に選んだのが、「世界の中でも大好きな場所」と語る東京を首都に置く日本だ。「大晦日が楽しみ。素晴らしいエンターテインメントをお見せしたい」とコメントした。

 

(写真:会見の注目度は高くの報道陣が詰めかけた)

 対戦相手には『RIZIN』が誇る“神童”那須川が指名された。そこに至る経緯を榊原実行委員長は説明した。

「まず最初に思ったのは那須川天心。誰が見たいかと考えた時に彼しかいなかった」

 旗揚げ興行から参戦する秘蔵っ子とも言える存在だ。ここまで無敗街道をひた走っている20歳。9月にはアメリカントップチーム所属の逆輸入ファイター・堀口恭司にキックボクシングルールで勝利した。正真正銘『RIZIN』の顔である。

 

「格闘技を盛り上げる」との強い意志を持つ那須川は、願ってもいないオファーに「すぐOKを出しました」と快諾したという。「自分の人生の中でも最大の出来事。誰も成し遂げられなかったこと、拳ひとつで世界を変えられると証明したい」。那須川はメイウェザーに直接会ってみての印象を問われると、「身長以上に大きく、オーラを感じた。でもパンチは当たりそうだなと」と“先制口撃”。これを聞いたメイウェザーは白いを歯を見せてニコリと笑うと、拍手を送る余裕のリアクションだった。

 

 日本の格闘技ファンにとっては夢のようなカードだが、障壁も少なくない。ボクサーvs.キックボクサーの異種格闘技戦。ルールはどうなるのか。ボクシングならメイウェザー、キックルールなら那須川に明らかに分がある。ボクシングルールを軸にした立ち技ルールあたりが、落としどころになりそうだ。加えて2人には約10㎏の体重差というウエイトの問題もある。那須川は「相手の土俵で戦ってもいい」という構えだが、“世紀の一戦”を実現させるためにフェアなルールセッティングを望む。

 

(文・写真/杉浦泰介)