12日、ボクシングのWBC世界スーパーバンタム級暫定王座決定戦が東京・後楽園ホールで行われ、同級2位の亀田和毅(協栄)が同級1位のアビゲイル・メディナ(スペイン)に判定勝ちを収めた。亀田家三男の亀田和はWBO世界バンタム級続き、2階級制覇を達成。これで亀田家3兄弟全員が複数階級制覇(長男・興毅は3階級、次男・大毅2階級)の快挙を成し遂げた。

 

 亀田和は3年2カ月ぶりの世界戦を聖地・後楽園ホールで迎えた。相手は10連勝でベルトのチャンスを掴んだメディナ。スペインからの刺客が最後に敗れたのはWBO世界バンタム級元王者のジェイミー・マクドネル(イギリス)である。奇しくも亀田和が最後に敗れたのもマクドネルだった。

 

 正規王者のレイ・バルガス(メキシコ)が負傷したため、暫定王座を懸けて挙行された一戦。まず機先を制したのは亀田和だ。左ジャブでメディナを突き、距離を詰めさせない。序盤はメディナが慎重に戦っているように映った。4ラウンドを終えての公開採点ではジャッジ3人が亀田和を支持。優位に試合を進めた。

 

 メディナは徐々に仕掛けてきたが、亀田和も決定打は食わない。スピードを生かし、対処していた。8ラウンド終了後もポイントは亀田和がリード。残り4ラウンドは相手のパンチをもらう場面もあったものの、時間を使いながら逃げ切った。判定3-0で亀田和が5年ぶりにベルトを掴んだ。

 

 終盤は亀田和も苦しんだ。後押ししたのは家族だった。「向こうがポイントで負けているところからきた。最後はお兄ちゃんや家族の声が支えになった」。セコンドには兄の興毅氏と大毅氏がおり、試合中は場内にいる父・史郎氏の声が響き渡った。

 

 2015年9月にマクドネルに敗れて以降、世界戦のリングからは遠ざかっていた。それでも腐ることなく待ち続け、掴んだチャンスを逃さなかった。

 

(文/杉浦泰介)