14日、なでしこジャパン(女子日本代表)はベトナムで開幕した女子アジアカップ兼15年カナダW杯アジア最終予選の初戦で、女子オーストラリア代表と2対2で引き分けた。日本は序盤から相手の攻勢に押し込まれた。すると前半21分、FWフォードに先制点を奪われた。その後は攻撃のかたちをつくれ始めたがゴールは奪えず、リードを許して試合を折り返した。後半、早く追いつきたいところだったが、19分、FWデバナに決められて2失点目を献上してリードを広げられた。それでも日本は24分に相手のオウンゴールで1点差に詰め寄る。そして38分、FW大儀見優季が同点弾を決めた。ドロースタートとなった日本は16日にベトナムとの第2戦に臨む。

 大儀見、土壇場で同点弾(ホーチミン)
女子日本代表 2−2 女子オーストラリア代表
【得点】
[日本] オウンゴール(69分)、大儀見優季(83分)
[豪州] フォード(21分)、デバナ(64分)
 W杯までの道のりに楽なものはない。そう強く痛感させられた試合だった。なんとかドローに持ち込んだものの、攻守ともに課題を露出した。

 日本は開始早々の前半2分、デバナにPAに進入され、シュートを打たれた。これは左ポストを直撃し、ことなきを得た。11分には、ロングボールに抜け出したフォードに、左足で狙われた。このシュートは枠を外れたものの、序盤から攻勢を強める豪州を前に、日本は後手を踏んだ。

 迎えた21分、ついにゴールを割られた。センターライン付近でボールを奪われ、カウンター。左サイドを仕掛けるフォードを止められず、中央にカットインした後に右足を振り抜かれた。シュートは左ポストに当たってゴールネットを揺らした。ボールを失ってから、日本の守備人数は揃っていた。しかし、フォードへのプレスが甘く、簡単にシュートまで持ち込ませてしまった。

 反撃したい日本だが、なかなか攻撃のかたちをつくれない。すると35分、早くも日本ベンチが動いた。FW吉良知夏に代えてベトナム遠征から合流したFW大儀見優季を投入する。大儀見が入ったことで、前線での起点ができ、徐々にリズムが出た。43分、MF宮間あやが敵陣でボールを奪い、相手DFを引き付けてからPA内の大儀見へ。大儀見は右足でシュートを狙ったが、これはGKに防がれた。決定的な場面を決められなかったものの、日本がペースを掴みつつ、試合を折り返した。

 後半、日本は序盤から怒涛の攻撃を仕掛けたが、ゴールを奪えない。2分、宮間がクロスバー直撃のミドルシュート。14分、MF川澄奈穂美が左サイドから仕掛け、右足でシュートを狙ったものの、ゴール右へ外れた。

 そんな19分、豪州にワンチャンスを生かされた。ゴール前までボールを運ばれ、MFファン・エグモントのシュートがPA内右にこぼれた。これを、反応したデバナに豪快に蹴り込まれた。W杯へ向けた初戦で訪れた試練。この苦境を打開するためにも、早く1点が求められた。 

 日本に待望の1点が生まれたのは24分だ。川澄が左サイドを仕掛け、グラウンダーのクロス。これが相手DFのオウンゴールを誘発した。決してきれいな流れではなかったが、このゴールで再び日本に勢いを取り戻させた。

 そして38分、エース・大儀見がチームを救った。左サイドでボールを受けた川澄が、相手DFを交わして右足でアーリークロス。反応した大儀見はうまくDFラインの裏へ抜け出し、左足でゴールに流し込んだ。土壇場での同点劇に、佐々木則夫監督はベンチ前で大きくガッツポーズをつくった。

 ここまでくれば、狙うは勝ち点3だ。日本はさらに攻勢を強め、43分、宮間がPA内に出した浮き球パスに大儀見が抜け出す。GKと交錯しながら頭上に上がったボールをシュートしようとするが、相手DFに対して足を高く上げたとしてファールをとられた。その後も豪州ゴールに迫った日本だが、逆転弾を奪うには至らなかった。

「選手たちが次の試合につなげてくれた」
 佐々木監督は2点差を追いつき、勝ち点1をもぎ取った選手たちをこう称えた。確かに、劣勢に屈しなかったことは評価できる。だが、宮間が「反省しかない」と語ったように、日本は精彩を欠いていた。守備では出足が遅く、相手にプレッシャーを与えられない。攻撃も日本らしい少ないタッチ数でのパスワークが見られず、ゴールに向かってギアを上げる前にパスミスからボールを失う場面も多く見受けられた。

 次のベトナム戦は中1日で迎える。時間はないが、チームとして今一度、戦い方を整理し、ホスト国から勝ち点3を奪いたい。