18日、ベトナムで開催中の女子アジアカップ兼15年カナダW杯アジア最終予選で、なでしこジャパン(女子日本代表)がグループリーグ第3戦で女子ヨルダン代表を7対0で下し、W杯出場権を獲得した。日本は前半26分、FW吉良知夏のゴールで先制すると、45分にはMF中島依美の得点でリードを広げて試合を折り返した。後半も日本ペースで試合が進み、MF阪口夢穂らのゴールで5点を追加。大勝した日本はW杯出場権獲得とともに、GLを首位通過して準決勝に進出した。

 吉良、代表初含む2ゴール(ビンズン)
女子日本代表 7−0 女子ヨルダン代表
【得点】
[日本] 吉良知夏(26分、90分+4)、中島依美(45分、76分)、阪口夢穂(48分、82分)、オウンゴール(68分)
「みんなが本当によくがんばってくれた。まずはW杯出場権を獲得したということだけに尽きると思う」
 佐々木則夫監督はホッとした表情でこう述べた。引き分け以上でW杯出場が確定する試合で、20歳のMF猶本光、18歳のDF乗松瑠華ら若手をスタメン起用。中1日の過密日程の中で、MF宮間あや、MF川澄奈穂美ら主力を温存しながらも、7ゴールを奪う大勝でしっかりと勝利を手にした。

 なでしこは序盤からボールを支配し、ヨルダンゴールを脅かし続けた。8分、猶本がPA手前からミドルシュート。18分には中島が左サイドのクロスがファーサイドに流れたボールを、右足で狙った。いずれもGKに防がれたものの、各選手がシュートの意識を高く持って試合に臨んでいた。 

 そんな26分、吉良が代表初ゴールで試合を動かした。DF宇津木瑠美が左サイドからファーサイドへクロス。これを、吉良がヘディングでゴールに流し込んだ。前に出てきたGKの頭上を抜く吉良の冷静さが光った。
 前半終了間際には、追加点が生まれた。PA内左から阪口が左足でシュート。右ポストに当たって跳ね返ったボールを、中島が右足で豪快に蹴り込んだ。

 守備では、29分に訪れたピンチをGK海堀あゆみがファインセーブで防ぎ、ヨルダンに流れを傾かせなかった。

 後半、佐々木監督はボランチの猶本と左サイドバックの宇津木をポジションチェンジ。この采配が的中する。3分、左サイドを攻め上がった猶本がクロスを上げ、受けたFW高瀬愛実が胸で後方に落す。これに反応した阪口が右足でゴールネットを揺らした。

 ダメを押したなでしこだが、攻勢を弱めない。23分、中島が右サイドを仕掛けて中央に折り返したボールが、ゴールに向かって戻っていた相手DFの足に当たるオウンゴールとなった。
 31分には、中島がPA手前やや右で得たFKを直接狙い、クロスバーに当たってゴールに吸い込まれた。37分、阪口が左サイドからのFKに頭で合わせて6点目。アディショナルタイムには、吉良が左CKからのこぼれ球を、右足でねじ込んだ。

 W杯女王とヨルダンの実力差は明らかだった。しかし、なでしこの選手たちは目の前の試合に全力で臨み、佐々木監督も「攻守に渡り、相手がどういう状況であろうが、最後まで全員で戦うということができていた」と称えた。また、W杯出場権がかかる一戦を若手主体で制したことは、選手たちにとって今後の自信になるだろう。だが、なでしこにはW杯の前にやるべきことがある。アジア杯初制覇だ。

「これからは決勝トーナメント。優勝カップを狙うということになるが、(準決勝で対戦が予想される)中国も韓国も非常にコンディションが良いので、気を引き締めて決勝トーナメントに臨みたい」
 指揮官はこう意気込んだ。アジア女王の称号を目指し、なでしこジャパンが負けたら終わりの一発勝負に臨む。