ニューヨーク・ヤンキースの田中将大が21日、敵地でのシカゴ・カブス戦に先発し、6回8安打4失点(3自責点)でメジャーリーグ移籍後初の負け投手となった。田中はレギュラーシーズンでは日本時代の2012年8月から34連勝を続けていたが、記録が途切れた。前回はメジャー初完投初完封で開幕6連勝を飾った田中だが、この日は制球が甘く、失点を重ねる。結局、今季ワーストとなる4点を奪われ、ヤンキースは1−6で敗れた。インターリーグで打席にも立った田中は2打数0安打。イチローは最終回に代打で出場し、四球を選んだ。
 レギュラーシーズンでは約1年9カ月ぶりに味わう悔しい敗戦だ。海を渡ってからも連勝街道を続けてきた背番号19に土がついた。

 カブスとは4月に対戦し、8回無失点で勝利投手になっている。今季9度目の先発で初めて同じチームとの再戦だった。

 立ち上がりは上々。連続三振に切って取るなど三者凡退で、これまで通りの快投が期待された。ところが、3回、激しく降り始めた雨に手元が狂ったのか、ボールが高めに浮き始める。

 先頭打者にツーシームをライトの頭上に運ばれると、送りバントとバッテリーミスで1死三塁のピンチを招く。ここでトップバッターのエミリオ・ボニファシオに投じたスプリットが落ち切らず、センター前に弾き返される。1点の先制を許した。

 続く4回も苦しいピッチングは変わらない。先頭打者に浮いた変化球を二塁打を打たれると、1死三塁から打率1割台のマイク・オルトに三遊間を破られる。2−0とリードが広がった。なおもジョン・ベーカーはレフトフェンス直撃の二塁打。1死二、三塁と走者を背負う。

 ここでカブスは9番ピッチャーのジェーソン・ハメル、1番のボニファシオが連続スクイズ。負けなしの右腕を揺さぶろうと試みる。しかし、ここは田中が落ち着いて打球を処理し、いずれも本塁でタッチアウト。なんとか最少失点で切り抜けた。

 好フィールディングで相手に傾きかけた流れを食い止めた田中は、5回は上位打者を三者連続三振。ヤンキースは6回表に1点を返し、1点差に詰め寄る。連勝中はリードを許していても、イニングが進むにつれ、ピッチングにギアが入り、打線も奮起して逆転していた。巻き返しのムードは徐々に出てきていた。

 だが、この日の田中には、その雰囲気を膨らませることができなかった。直後のマウンドで連打を浴び、無死一、三塁と再び苦しい展開に陥る。ここで前打席でタイムリーを許しているオルトにレフトへ飛球を運ばれて犠牲フライとなり、痛い1点を追加される。

 さらに守備の乱れで一塁走者の三進を許し、ベーカーにも左中間へ犠牲フライを打たれる。これで1−4。味方の得点後に点差を広げられては勝利の女神からも見放される。7回に打順が回ってきたところで代打を告げられ、降板となった。

 連勝がストップし、内容も悪かったとはいえ、メジャー初登板からクオリティスタート(6回以上3自責点以内)は継続中だ。厳しい状況でも決して大崩れしなかった点は、さすがと言えるだろう。次回は中4日で26日にシカゴ・ホワイトソックス戦に登板予定だ。久々の負けを糧に、きっと立て直してくるに違いない。