10月25日に行われたNPBのドラフト会議、今年は徳島インディゴソックスの鎌田光津希が千葉ロッテから育成1位指名を受けた。これで四国アイランドリーグplusからNPBへの選手輩出数は通算62人。ドラフトではリーグとして14年連続、通算54名をNPBに送り込んでいる。大卒1年目の鎌田は徳島で「野球漬け」の日々を送り、夢の第一歩を踏み出した。アイランドリーグで過ごした1年をこう振り返る。

 

 筋トレは4時間以上

 ドラフト会議当日は指名を待ちながらドキドキしていました。千葉ロッテから育成1位指名されてホッとした気持ちであり、そして次は支配下登録という新しい目標ができました。またそこに向けて頑張ります。

 

 指名後、徳島・石井貴監督からは「おめでとう」と同時に「自主トレからしっかりとアピールしろ。でも焦ってケガだけはしないように」など、いろいろとアドバイスをいただきました。ロッテからは150キロ以上の球速、それと変化球を持っていて、さらにストレートもクセ球だ、という部分を評価されたと聞きました。期待に応えられるように、今まで以上に努力したいです。

 

 今季、徳島に入団して最初に石井監督から言われた「NPBで活躍したいならナックルカーブを磨け」という言葉を肝に銘じて、NPBでもさらにナックルカーブに磨きをかけたいと思っています。

 

 監督には事あるごとにアドバイスを受けましたが、一番印象に残っているのは4月4日の福岡ソフトバンク戦、初先発した試合の後に言われたことです。

 

 この試合、相手がNPBのチームということで構えすぎた部分がありました。6回1/3イニングを投げて9安打、7失点、3四死球とパッとしない内容。原因はコントロールもないのに、コーナー四隅を狙いすぎたからでした。試合後、石井監督に「お前はそういうピッチャーじゃないだろ」と一喝され、さらに「インとアウトの2分割、それで思い切って投げろ!」と。そのアドバイスを意識してマウンドに上がった4月11日の試合では、6回までゼロ封し、初勝利をマークしました。本当に目が覚めた一言でしたね。

 

 他にも石井監督からは、「投げ始めに体が反るので、反りを遅らせるように」とのアドバイスも受けました。本当にいろいろと教えていただいて、今は感謝しかありません。

 

 徳島1年目でNPBに進みましたが、実は少しだけ遠回りしているんです。というのも、高校卒業時に一度、アイランドリーグPlusのトライアウトで合格し、徳島球団から獲得の意思表示を受けたのですが、推薦入学で合格した敬愛大に進学したんです。理由は「将来を考えたときに高卒よりも大卒」ということです。大学では肩とヒジを傷めて3年、4年とほぼ投げられなかったので当然、NPBからの指名はありませんでした。それで4年前に縁のあった徳島球団から再度、声をかけていただきアイランドリーグへ進みました。

 

 徳島に入ってからはとにかくNPB入りを目標にして、がむしゃらに1年を過ごしました。グラウンドでは走り込みをして、それが終わったらジムに行ってトレーニング。筋トレは4時間以上やっていましたよ。

 

 大学を経由して入った徳島の1年でスピードも150キロ以上が出るようになったし、さらにいろいろなことを経験できたのも財産だと思っています。6月には北海道日本ハムとの交流戦で清宮幸太郎選手と対戦し、ストレートで三振を奪いました。リーグは同じなので、早くNPBでも対戦できるような投手になりたいと思っています。

 

 また後期は愛媛マンダリンパイレーツと最終戦で「勝った方が優勝」というしびれる試合の先発も任されました。かなり気合いが入り、6回まで投げて6奪三振。でも8安打を打たれて自責点3という内容でした。チームが敗れて優勝は果たせず、今でも悔いが残る登板です。「勝ったら優勝」という試合で投げることは野球人生の中でも一度か二度、あるかどうかですよね。今後、もしそういう場面があったら、この日の経験をいかしたいですね。

 

 徳島ではいろいろと石井監督からは教わりましたが、僕もプロでは現役時代の監督のように気持ちの入ったピッチングで打ち取る投手になりたいです。ロッテでいえば「魂のエース」と呼ばれた黒木知宏さんですね。NPBで対戦したいのは福岡ソフトバンクの柳田悠岐選手。あの人から三振を奪ったら最高でしょうね。

 

 そういえば、昨年のドラフトで徳島から埼玉西武に入った伊藤翔は、地元の幼なじみです。3学年下の彼の方がNPBでは結果を残して先に行ってるので、早く追いついてNPBで投げ合いたい。ZOZOマリンのロッテ対西武戦で僕ら徳島OBが投げ合ったら、徳島の人も喜んでくれると思います。今年1年、徳島の方々には大変お世話になりました。ロッテに行った後も応援よろしくお願いします。

 

<鎌田光津希(かまた・みずき)プロフィール>
1995年9月6日、千葉県出身。中学時代は軟式野球部に所属し、一塁手兼投手。横芝敬愛高(千葉)ではエースとして活躍し、高3夏の県大会は2回戦再試合を含めてフル回転し、4回戦まで進んだ。高校卒業時に四国アイランドリーグplusのトライアウトを受け徳島インディゴソックスから高い評価を受けたが、敬愛大に入学。大学1年の春から千葉県大学野球リーグ戦に出場。2年間で6勝をあげたものの肩とヒジを故障し大学3年以降は勝ち星から遠ざかった。卒業後、高校時代の縁もあり徳島に入団。ルーキーイヤーの18年、17試合に登板して4勝をマークした。150キロを超すストレートはナチュラルに動くクセ球で、今季は79個の三振(リーグ3位)を奪った。18年秋のドラフト会議で千葉ロッテから育成ドラフト1位指名を受けた。右投右打。身長180センチ、体重91キロ。


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