24日、東京・有明コロシアムでbjリーグ2013−2014ファイナルズのカンファレンスファイナルが行われた。イースタンは秋田ノーザンハピネッツが富山グラウジーズを、ウエスタンは琉球ゴールデンキングス(沖縄)が京都ハンナリーズをそれぞれ下した。この結果、明日のファイナルは秋田対沖縄、3位決定戦は富山対京都の組み合わせとなった。
(写真:秋田のファイナル進出に貢献した富樫)

◇イースタン・カンファレンス ファイナル
 PG富樫、両チーム最多の28得点
富山グラウジーズ 94−109 秋田ノーザンハピネッツ
【第1Q】14−22【第2Q】23−20【第3Q】16−31【第4Q】41−36
 司令塔がチームを勝利へ導いた。秋田はポイントガード(PG)富樫勇樹が躍動。パス、鋭いドリブルで攻撃のリズムをつくり、両チーム最多の28得点を挙げる活躍を見せた。

 試合は序盤から秋田が攻勢を仕掛けた。富樫のゴールで先制し、G田口成浩の3ポイントなどでリードを拡大。22対14で第1Qを終えた。リーグ1位の平均得点(90.2点)を誇る自慢の攻撃力は、有明でも健在だった。だが、第2Qは西地区1位の富山に反撃を許し、42対37と5点差に詰め寄られて前半を折り返した。

 勝負の明暗を左右したのは第3Qだ。富樫が輝きを放つ。ドライブで富山のインサイドに切れ込み、ジャンプシュート。身長167センチながら、マッチアップした20センチ以上高い相手をものともせず、ゴールを量産した。「シュートタッチがよかった」と振り返る富樫は第3Qだけで13得点、また3アシストも決めた。
 また、第3Qでは秋田のディフェンスも機能した。田口が富山のエース・G城宝匡史を徹底マークし、3得点に抑え込んだ。エースを封じたことで相手にリズムをつくらせず、第3Qを終えて73対53。20点差をつけて第4Qへ突入した。

 迎えた最終Qは、攻めるしかない富山に押し込まれたものの、大崩れはしなかった。効果的に速攻を決めるなど、最後まで攻守に集中力を維持した。終わってみれば109対94という100点ゲームで、有明初勝利とともにファイナル進出を掴み取った。

 マン・オブ・ザ・マッチを決めるなら、間違いなく富樫だろう。「緊張せず、普段通りプレーできた」と28得点7アシスト、そしてディフェンスリバウンドも2本記録。攻守においてチームの勝利に貢献した。中村和雄ヘッドコーチ(HC)かねてから「富樫のプレーは僕の考えをはるかに超えている」と富樫を評価する。それだけに、この試合での活躍を受けて「勝利したことももちろんだが、(富樫が)晴れの舞台で活躍したことが嬉しい」と笑顔を見せた。

「このチームで試合が出来るのも次が最後。良い準備をしたい」
 富樫はファイナルに向けてこう意気込んだ。司令塔として、また得点源として、チームを勝利に導けるか。

◇ウエスタン・カンファレンス ファイナル
 琉球、2季ぶりVへ前進
琉球ゴールデンキングス 74−56 京都ハンナリーズ
【第1Q】18−17【第2Q】20−10【第3Q】19−16【第4Q】17−13

 沖縄がらしさを出して、ファイナル進出を決めた。リーグ最少の平均失点(68.5点)の堅守で、京都を波に乗らせなかった。
(写真:富山・ユービレスのシュートをブロックに行く沖縄・マクヘンリー<左>)

 第1Q序盤は京都に連続ポイントでリードを奪われた。このまま、ズルズルと京都ペースに持ち込まれるかに思われた。しかし、伊佐勉HCは「自分たちが表現しようと練習を積み重ねたことが間違いではないと確信した」という。それは沖縄の特徴である激しいディフェンスだ。ボールホルダーに素早くプレッシャーをかけ、相手のターンオーバーを誘発。そこからの速攻で、終盤に5連続得点を挙げて一気に逆転した。沖縄は18対17とリードして第1Qを終えた。

 第2Qはさらにディフェンスが機能。また、フォワード(G)ドゥレイロン・バーンズ、G山内盛久の連続3ポイントも決まり、38対27とリードを広げて試合を折り返した。

 第3Q序盤は、攻勢を強めた京都に、バスケットカウントを決められ、2点差にまで詰め寄られた。だが、ここで大崩れしないのがレギュラーシーズン最多勝利を記録した沖縄の強さ。鋭い出足からボールをスティールし、カウンターにつなげる。ゴール下になだれ込んでくる沖縄の選手を、京都はファウルで止めるのが精いっぱい。そうして得たフリースローを、沖縄はことごとく決めてみせた。

 57対43とリードして迎えた第4Qも粘り強いディフェンスで京都にペースを与えない。そしてバーンズが3つの3ポイントシュートを決め、京都を振り切った。

「やろうとしたことは6割できた。残りの4割は、選手の“絶対に負けない”という気持ちで勝利をつかんだ」
 伊佐HCは40分を通してガッツ溢れるプレーを見せた選手たちを称えた。また、勝因として「エドウィン・ユービレスを抑え込んだ」ことを挙げた。オールラウンダーのユービレスを波に乗せてしまえば、チームにも勢いを与えてしまう。そんな相手キーマンに、沖縄はSGアンソニー・マクヘンリー、G小菅直人が対応。ユービレスに1得点も許さない圧巻の仕事ぶりを発揮した。

「ファイナルで負けては何も意味がない。必ず勝てるように、ファイトしたい」
 伊佐HCは力強く大一番への抱負を述べた。2季ぶり3度目の戴冠へ、ファイナルでも沖縄らしいバスケットを貫く。