25日、東京・有明コロシアムでbjリーグ2013−14ファイナルが行われ、ウエスタンの琉球ゴールデンキングス(沖縄)がイースタンの秋田ノーザンハピネッツを下し、2季ぶり3度目の優勝を収めた。MVPには沖縄のガード(G)岸本隆一が選ばれた。また、3位決定戦では富山グラウジーズが京都ハンナリーズを下した。
(写真:歓喜の胴上げで宙を舞う伊佐HC)

◇ファイナル
 MVP岸本、レギュラーシーズン新人賞に続く栄冠
秋田ノーザンハピネッツ 89−103 琉球ゴールデンキングス
【第1Q】24−24【第2Q】24−31【第3Q】18−29【第4Q】23−19
 前日のカンファレンスファイナルで無得点だった男が、ファイナルで輝いた。岸本は絶妙なシュートタッチで次々と長短のシュートを成功。秋田の中村和雄HCも「14番(岸本)があれだけやるとは……」と脱帽するほどのハイパフォーマンスだった。

 第1Q、その岸本のいきなりの3ポイントシュートで試合が動いた。すると、すかさず秋田のPG富樫勇樹が3ポイントで応戦。ここから激しい点取り合戦が展開した。一時、沖縄は富樫を中心に攻撃してくる秋田にリードを許した。だが、岸本の3ポイント、バスケットカウントなどで追い上げ、24対24と追いついて第1Qを終えた。

 第2Qも互いに得点を奪い合う展開となった。その中で沖縄はドゥレイロン・バーンズが3本の3ポイントを沈めるなど12得点。他の選手も安定してゴールを決め、徐々に点差を開いていった。55対48、沖縄が7点のリードを奪って試合を折り返した。

 後半の第3Qでは、再び岸本が爆発した。鋭いドライブから秋田のファウルを誘い、得たフリースローを確実に成功させる。終盤には連続3ポイントシュートを決めてみせた。たまらず秋田ベンチがタイムアウトを要求すると、岸本は両手を大きく振り上げて観客にアピール。呼応した沖縄ブースターから空気が揺れるほどの歓声が起きた。地元・沖縄出身の24歳が、試合の中心にいた。
(写真:3ポイントシュートを放つ岸本)

 迎えた第4Qで、沖縄は攻勢を強めた秋田に押し込まれた。しかし、要所で速攻を仕掛け、岸本のこの試合7本目の3点シュートなどで秋田に点差を縮めさせない。終わってみれば、レギュラーシーズンを通して初の100点ゲームを達成。103対89で2季ぶりに王座を奪還した。

「立ち上がりを大事に、積極的にいこうと選手同士で話し合って臨んだ。自分も昨日よりも思い切ってアタックできた」
 岸本はこう試合を振り返った。背番号14は両チーム最多の34得点をマークし、プレイオフMVPを獲得。無得点と影を潜めた前日を引き合いに出し、「おいしいところだけ持っていった」と笑顔を見せた。

 今季は何としても優勝というタイトルが欲しかった。シーズン前に中心選手が退団し、ケガ人も続出。沖縄の苦戦を予想する声もあった。岸本はそんな周囲の雑音を聞いて「絶対に見返してやる」と奮起のエネルギーに変えた。「優勝した時は“どうだ!”という気持ちになった」と岸本。求めていた“勝利”に誇らしげだった。

◇3位決定戦
 富山、チーム史上最高の3位フィニッシュ
富山グラウジーズ 84−62 京都ハンナリーズ
【第1Q】30−15【第2Q】12−6【第3Q】17−21【第4Q】25−20

 富山が持ち前の攻撃力を発揮して、有明で初勝利を収めた。第1Qで30対15のダブルスコアとすると、第2Qも主導権を握り、42対21で試合を折り返した。
(写真:試合後、ブースターと触れ合う城宝)

 第3Qは京都の攻勢に押し込まれたものの、第4Qで再び差を拡大した。F藤江建典、G水戸健史、SG城宝匡史、CFサム・ウィラード、Fアイラ・ブラウンのスターティング5が2桁得点をマーク。ボブ・ナッシュHCは「昨日の敗戦からしっかり立ち直ってプレーをした選手のことを誇りに思う」とチームを称えた。

 試合後、城宝ら選手たちは、有明に詰めかけた富山ブースターの観客席に向かい、ハイタッチなどでともに勝利を喜んだ。参入8年目で3位フィニッシュというこれまでで最高の結果を残した。来季こそは、優勝という歓喜をブースターと分かち合えるか。