現地時間24日、世界ランキング11位のラグビー日本代表(ジャパン)対同19位のロシア代表がイギリス・グロスターで行われた。来年のワールドカップ開幕戦でも対戦する両国の対決は、ジャパンが32-27でロシアを下した。前半はロシアが5つのPGを決めるなど、22-10でリード。後半に入ると、ジャパンも意地を見せて3トライを奪うなど逆転に成功した。ジャパンはイギリス遠征2戦目、年内最後のテストマッチを勝利で終えた。

 

 ワールドカップ開幕戦の前哨戦と位置付けられる一戦は、イングランドのキングスホルムスタジアムで行われた。

 

 ジャパンは先週のイングランド代表戦からはスターティングメンバーを4人入れ替えた。ハーフ団は両方を替えて、SH茂野海人(トヨタ自動車ヴェルブリッツ)、SO松田力也(パナソニック ワイルドナイツ)を起用した。

 

 先制点を挙げたのはロシアだった。ゴール前でペナルティーを獲得すると、4分にSOユーリ・クシナリョフがPGを決める。ロシアはパワフルなアタックからジャパンのペナルティーを誘発。7分、16分にもクシナリョフがPGを決めて突き放す。

 

 0-9とビハインドを負ったジャパン。21分にはFBウィリアム・トゥポウ(コカ・コーラレッドスパークス)が自陣で出したパスをインターセプトされ、トライを許した。コンバージョンキックをクシナシェフに決められた。

 

 16点差を付けられたジャパンも、23分に松田のPGで3点を返す。31分にはFLリーチ・マイケル(東芝ブレイブルーパス)がゴール前でペナルティーを獲得すると、リスタートしてトライを奪った。相手の陣形が整っていないとみるやいなやの好判断だった。松田がコンバージョンを決めて10-16で6点差に迫った。

 

 1トライ1ゴールで逆転できる差まで持っていったジャパンだが、35分にFL西川征克(サントリーサンゴリアス)がシンビン(10分間の一時退場)を受けるなどペナルティーが目立つ。ロシアに2つのPGを決められて前半を10-22で終えた。

 

 後半に入るとジャパンのペースに持ち込んだ。最初の得点は4分、WTB福岡堅樹(パナソニック ワイルドナイツ)のトライ。素早いパス交換から右サイドを大きくゲインすると、右から中央へ、中央から左へと展開。最後は茂野、松田、CTBラファエレ・ティモシー(コカ・コーラレッドスパークス)、大外の福岡がインゴールへ飛び込んだ。

 

 この後の松田のコンバージョンで17-22に。13分には茂野に代えて、スペースを突くのが巧い流大(サントリーサンゴリアス)を投入し、攻撃の活性化を図る。すると15分、ハーフウェーライン手前でボールを持ったNo.8ツイ・ヘンドリック(サントリーサンゴリアス)が突破。ロシアの守備網の間をくぐって、中央にトライを挙げた。50m以上の独走トライで同点に追いつく。

 

 ジャパンは松田のコンバージョンで逆転に成功したものの、途中出場のSOラミーユ・ガイシンのキックパスに翻弄され、ロシアに再逆転を許す。24-27。再びジャパンが追いかける展開となった。ジェイミー・ジェセフHCはSO田村優(キヤノンイーグルス)らをピッチへ送り込んで逆襲を狙う。

 

 27分に田村のPGで同点。ジャパンは敵陣で猛攻を続ける。32分には中央から左への田村のグラバーキック(グラウンダーのキックパス)をキャッチしたのはリーチ。大外で不規則に弾んだボールを掴んで、ロシアのディフェンスを弾き飛ばしてインゴールへ飛び込んだ。32-27で5点のリードを奪った。試合はそのままスコアでノーサイド。11月からイギリス遠征、年内最後のテストマッチを勝利で終えた。

 

 2018年のジャパンのテストマッチは3勝3敗の五分。テストマッチではない世界選抜との試合を含めれば、年間では負け越した。ニュージーランド、イングランドのティア1勢には勝てなかったものの、アタック面で通用する場面もあった。ペナルティーの多さやディフェンス面での課題はある。勝負の来年に向けて、ひとつずつクリアして秋を迎えたい。

 

(文/杉浦泰介)