2015年のラグビーW杯イングランド大会アジア最終予選を兼ねたアジア5カ国対抗は25日、日本代表が香港代表を49−8で下し、4戦全勝で第1回大会から7連覇を達成した。結果、日本は8大会連続8度目のW杯出場権を獲得した。この試合は現国立競技場で開催される最後のスポーツ公式戦。2019年のW杯日本開催に向けて改修される新競技場へ、締めくくりの一戦を勝利で飾った。
(写真:リーチ主将を中心にW杯予選突破を喜ぶジャパンの選手たち)
 50年前の東京五輪でも使われた聖火台に火が灯る中、赤いジャージのジャパンが燃え盛る炎のごとく、相手陣内に攻め入る。終わってみれば8トライをあげる快勝だった。

「ブレイクダウンで激しく来た。難しい試合だった」
 エディ・ジョーンズヘッドコーチが振り返ったように立ち上がりは、香港の激しいディフェンスをなかなか打ち破れなかった。

 突破口を開いたのが20歳のWTB藤田慶和だ。前半12分、右サイドを駆け出し、ゴールに飛び込む。相手のドロップゴールで3点を返された直後の28分にも、大きく右に振ったボールを受けた藤田が独走。トライを決めて15−3とリードを広げる。新競技場で開催される5年後のW杯でもジャパンの主役となることが予想されるホープがジャパンに流れをもたらせた。

 さらに日本は30分、WTB山田章仁が左サイドを巧みなステップで突破。相手を引きつけて最後はCTB立川理道が飛び込み、トライを決める。37分にはモールで押し込み、相手の守りを切り裂いてトライをあげ、27−3と完全な日本ペースで試合を折り返した。

 しかし、後半に入ると日本は思うように香港陣内に侵入できず、守りの時間も多くなる。20分にはトライを許し、流れが変わりかけた。ただ、「我慢強く規律をもって戦えた」と指揮官が評価したように、日本は慌てることなく、それ以上の反撃を許さず、相手の攻め疲れを待つ。

 そして勝負どころの残り15分で、一気に突き放した。27分、真壁伸弥が右中間で相手ディフェンスの隙間を突いてトライ。32分には中央でプレッシャーをかけてサイドの守りが手薄になったところを素早く右に振って藤田がこの日3つ目のトライを上げる。その後も37分、39分と立て続けにトライが決まり、終わってみれば49−8。大差をつけて、国立に最後のノーサイドのホイッスルが響き渡った。

 もちろん、ジャパンにとってイングランドへの切符を獲得するのはあくまでも通過点だ。
「目標はクォーターファイナル進出」
 試合後、ジョーンズHCもリーチ・マイケルキャプテンも本大会での8強入りを宣言した。グループリーグでは南アフリカ、スコットランド、サモア、米国と対戦する。

 早速、サモアとは30日に東京・秩父宮ラグビー場で前哨戦を行う。新しい国立のピッチに世界の強豪として戻ってくるべく、エディージャパンは天高く燃える聖火のように勢いを加速させる。