全国初の「多世代健康まちづくり」プロジェクト、長岡市で始動

(写真:左から長岡市長・森氏、bjリーグ・中野氏、タニタ・谷田氏)
産学官が一体となったプロジェクトだ。会見では地域活性化・健康事業コンソーシアム代表理事でもある中野秀光・bjリーグ代表取締役社長、森民夫・長岡市長、谷田千里・タニタ代表取締役社長らが、同プロジェクトにかける意気込みを語った。
NPB、Jリーグに次ぐ「日本第3のプロスポーツ」と自負するbjリーグのクラブ数は、発足当時(2005年)の6から現在の22に激増している。その上で選手たちのセカンドキャリア問題は早急に取り組まなくてはならない課題だった。中野氏は次のように、プロジェクトへの関わり方を述べた。
「我々には社会・地域貢献とバスケットボールのプロ選手のセカンドキャリアを考えるという宿題があった。選手は運動能力、生活能力、休む能力に優れている。この能力をまちづくりに活かし、スポーツを通したまちづくりに着手したい」
これに賛同したのが同じく地域活性化・健康事業コンソーシアムに参加するタニタであり、健康をテーマにしたまちづくりに取り組んでいた長岡市だった。
「大きなチャレンジ」
谷田氏はこのようにプロジェクトを位置づける。タニタは家庭用計量器メーカーとしての事業のみならず、タニタ食堂で健康をテーマにした食事提供などのサービスも展開。そんな同社が「多世代健康まちづくり」プロジェクトで実践するのはタニタ健康プログラムをベースとした「ウェルネス・アクティビティー」だ。これは健康増進への取り組み自体に「メリット、楽しさ、お得」を付随させる新しいソリューションである。

他にもタニタは2つの大きな試みを展開する。「まちなかまるごとタニタ食堂」と「TANITA CAFE」だ。
「まちなかまるごとタニタ食堂」は長岡市内にある飲食店でタニタ食堂のメニューを提供し、長岡市全体をタニタ食堂にするというコンセプトの下で行われる。各協力店が異なるタニタ食堂メニューを提供することで、市民の食事サポートと異なる店舗を訪れる動機づけをし、市街地の回遊と活性化をはかる。またタニタが新たに店舗を展開するのではなく、既存の飲食店をサポートすることで、不必要な競争も生じない。
「TANITA CAFE」では「五感で感じる癒しの空間」をコンセプトに掲げ、同カフェに滞在することでリラックスできる時間とサービスを提供する。座席はハンモックや足湯を楽しめる席なども用意し、よりリラックス効果を高める。そして管理栄養士が健康アドバイスを行うカウンセリングルームも設置され、市民は同カフェを訪れることで多種多様な健康情報に触れられる。肝心のメニューはタニタが監修した「タニタプレミアムブレンドコーヒー」(脂肪を燃焼する効果が高いといわれるクロロゲン酸を多く含む)、低カロリーのケーキやヨナナスなど、どれも「TANITA CAFE」でしか味わえない特別メニューが提供される。
長岡市は昨年度に産学官が連係した「多世代健康モデル研究会」を立ち上げ、誰もが健康に暮らせるまちづくりについて検討してきた。その上で森市長は自治体には真面目さばかりでなく「ある種の“緩さ”も大事」と語り、こう続けた。
「民間企業のノウハウで楽しく、お得。そういうところに可能性がある。(「多世代健康まちづくり」プロジェクトは)歩きながら考える、そういった取り組み」
最後に森市長は同様の施策が「長岡市から全国に広がってもらいたい」と期待した。果たして、全国初の試みはどのような果実をもたらすのか。