第98回サッカー天皇杯決勝戦の浦和レッズ対ベガルタ仙台が9日、埼玉スタジアムで行われ、1対0で浦和レッズが12年ぶりに優勝した。前半13分にMF宇賀神友弥のミドルシュートで浦和が先制し、そのまま逃げ切った。この優勝により浦和は賞金1億5000万円と来季のアジアチャンピオンズリーグの出場権を獲得した。

 

 宇賀神、強烈ミドル弾を突き刺す(埼玉スタジアム)

浦和レッズ 1-0 ベガルタ仙台

【得点】

[浦] 宇賀神友弥(13分)

 

 天皇杯の決勝は元日に行われるのが、通例だ。だが、今季は準決勝まで勝ち残っていた鹿島アントラーズがクラブワールドカップに出場する関係で12月9日に開催された。

 

 浦和は今季、4月からオズワルト・オリベイラを監督に招聘した。かつて鹿島アントラーズを率いてJリーグ3連覇など数々のタイトルを獲得した“オズの魔法使い”が浦和就任1年目で早くもカップを掲げた。

 

 スコアは序盤に動いた。13分、浦和は右CKからショートコーナーを使った。中にクロスを入れるもののクリアーされた。しかし、ペナルティーアーク付近で待ち構えていた宇賀神が迷うことなく右足を振り抜く。矢のようなシュートがゴールネットに突き刺さり浦和が先制した。

 

 先制後、浦和は仙台にボールを持たれるが危険な位置ではDF陣が体を張って未然にピンチを防いた。

 

 後半に入ると、最初にチャンスが訪れたのは浦和だった。左サイドの高い位置でMF柏木陽介がボールをカット。ゴール前のFW興梠慎三にパスを送る。興梠は相手を引き付けてMF武藤雄樹にラストパス。浦和の背番号9は左足インサイドでボールを捉えたが、惜しくもゴール上に外れた。

 

 追加点が奪えないと徐々に流れが仙台に傾く。26分には途中出場のFW阿部拓馬がダイレクトでシュートを放つが不運にもGK西川周作の正面。その1分後にはFW野津田岳人が完全フリーな状態からヘッドでゴールを狙うが惜しくもゴール左に逸れた。30分にはゴール正面の位置からMF奧埜博亮が左足でシュートを放つがゴール左に外れた。

 

 以降、仙台の決定力不足にも助けられた浦和は追加点を奪いに行く戦い方から時計の針を進める戦い方に変更。シンプルにボールを前に運び、キープをしながら時間を使った。終了のホイッスルが鳴ると、ピッチにはいくつもの歓喜の輪ができた。

 

 試合後、スーパーミドルを決めた宇賀神が語った。

「前日にも練習したかたちです。オリベイラ監督からも信頼してもらってあのポジション(ペナルティーアーク付近)を取らせてもらっている。ゴールのかたちはできすぎです。優勝を決めるゴールができてよかった。仙台はゾーンで守備をしてくる。セカンドボールがこぼれてくるという話はしていた。練習が良いかたちで実を結びました」

 

 緊迫した決勝の舞台では、かたい展開になることが多い。セットプレーの相手の守備戦術に目を付けたあたりは「流石オリベイラ」と言ったところだろう。

 

 この優勝で浦和は来季のACLの出場権を獲得した。昨年のACL王者が、オリベイラ体制でV奪還を目指す。

 

(文/大木雄貴)