15日、FIFAクラブワールドカップ準々決勝の鹿島アントラーズ(アジア王者)対グアダラハラ(北中米カリブ王者)の一戦がUAE・アルアインで行われ、鹿島が3対2で勝利した。鹿島は開始早々に先制を許したが、後半4分にMF永木亮太、24分にFWセルジーニョ、後半39分にMF安部裕葵のゴールで逆転した。後半終了間際に1点を返されたものの逃げ切った。

 

 途中出場の安部がリズム変えた(アルアイン)

鹿島アントラーズ 3-2 グアダラハラ

【得点】

[鹿] 永木亮太(49分)、セルジーニョ(9分)、安部裕葵(84分)

[グ] アンヘル・サルディバル(3分)、アラン・プリト(90+4分)

 

 

 スコアは開始3分に動いた。鹿島の左サイドをMFイサール・ブリスエラに突破されてゴール前にクロスを入れられる。このボールにFWアンヘル・サルディバルにヘディングで合わせられて鹿島は先制を許した。アジア王者の鹿島は前線からプレスをかけるもののメキシコ特有のテクニックに翻弄された。プレスは簡単にドリブルと浮き球をうまく使ったパスでかわされた。

 

 40分にはペナルティーエリア左サイドからサルディバルに左足の強烈なシュートを放たれた。2失点目を覚悟したが、これは鹿島の守護神・クォン・スンテがビッグセーブでチームを救った。

 

 鹿島はボールを奪っても、北中米カリブ王者の素早いプレスに進路を防がれ、バックパスが多かった前半だった。鹿島はリズムに乗り切れなかったが、最小失点に抑えたことが後半に効いてくる。

 

 後半に入ると、前半では見られなかったカウンターから鹿島が同点に追いついた。相手のシュートをクォン・スンテがキャッチ。グラウンダー気味の素早いフィードでセンターサークル付近のセルジーニョにパスを供給。セルジーニョはキープして、左サイドを走るFW土居聖真に展開。土居は相手を2人も引き付けて、ゴール前に低いクロスを入れる。このパスに長い距離を走った永木がスライディングしながら右足で合わせて、ゴールに押し込んだ。

 

 グアダラハラは、前半から飛ばし気味にプレスをかけたため、後半はガス欠に陥った。

 

 後半開始から投入された安部、同点ゴールをアシストした土居らが、前を向いてドリブルを仕掛ける機会が増えた。23分には土居がペナルティーエリア内で相手に囲まれるが、果敢にドリブルで仕掛けて相手のファウルを誘い、PKを獲得。これをセルジーニョが冷静に決めて、見事逆転に成功した。

 

 こうなると、“常勝軍団”の鹿島が試合をコントロールする。焦る相手をかわして冷静にボールをつなぎながら、隙があればゴールを狙う。安部が光を放つ。後半途中からピッチに投入されたMF安西幸輝と安部のシンプルながら効果的なパス交換で左サイドを崩す。安西からペナルティーエリア内でボールを受けた安部はワンフェイクを入れて、右足を振り抜く。シュートは美しい弧を描きながらゴール右に吸い込まれた。今季のJリーグヤングベストプレーヤー賞を受賞した19歳が貴重な勝ち越し点を奪った。

 

 後半ロスタイムにVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)、いわゆるビデオ判定で鹿島はPKを取られ、1点を返されるものの、3対2で逃げ切りに成功した。

 

 準決勝に駒を進めた鹿島は20日(日本時間)にヨーロッパ王者のレアル・マドリードと対戦する。2年前のクラブワールドカップでは決勝で敗れた。“銀河系軍団”と言われる強豪相手に、リベンジを果たせるか注目だ。

 

(文/大木雄貴)