結局、結論は先送りされた。ピッチャーの名球会入りの条件についてだ。

 

 

 さる11月23日、プロ野球名球会の総会を終えた山本浩二理事長は「1時間半くらい話し合ったが結論は出なかった」「野球のシステムは変わってきている。元号が変わる来年くらいは何か新しいものを出さないと」と渋い表情で語った。

 

 現在、ピッチャーの名球会入会資格は通算200勝以上、通算250セーブ以上――。セットアッパーが目標とするホールド数は一切、資格条件に含まれていない。名球会の価値はさておき、セットアッパーはどれだけ記録を積み上げても緑のブレザーに袖を通すことはできないのだ。

 

 昨年7月、巨人の上原浩治が日米通算100勝100セーブ100ホールドの大記録を達成した。いわゆる“トリプル100”だ。これはNPB史上初、MLBでもトム・ゴードン(138勝158セーブ110ホールド)しか達成していない。

 

 上原の大記録達成を受け、山本理事長は「本当に頭が下がる。現役の選手が勇気、目標となる条件を考えたい」と資格条件の改訂を示唆していた。しかし抵抗勢力の壁は想定していた以上に厚かった。

 

「一部のピッチャー出身者が反対しているんです。彼らの頭の中には未だに“リリーフは先発のできない者がやる仕事”といった偏見がある。山本理事長は資格条件の緩和に前向きなのですが、なかなか反対勢力を論破できない。“このままでは(名球会は)打者ばかりになる”と嘆いていますよ」(名球会会員)

 

 まるで岩盤規制である。名球会では未だに“先発選民思想”が幅を利かせているようだ。

 

 そんな中、米国から応援ツイートが。

<100勝100ホールド100セーブなんて200勝以上の価値はあると思います>

 

 持論を投稿したのはカブスのダルビッシュ有。概ね正論だろう。

 

 平成も今年の4月で終わる。古い岩盤を前に何も決められないようでは「名球会」改め「迷球会」にでもすべきである。

 

<この原稿は『週刊大衆』2018年12月17日号の原稿を一部再構成したものです>

 


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