サッカー日本代表(FIFAランキング50位)は9日、アジアカップグループステージの初戦でトルクメニスタン代表(同127位)とUAE・アブダビで対戦し、3対2で勝利した。試合は前半26分にMFアルスランテ・アマノフにミドルシュートで先制された。後半に入ると11分、15分とFW大迫勇也(ブレーメン)の2ゴールで逆転に成功。26分にはMF堂安律(フローニンゲン)の得点でリードを広げた。34分に日本はPKから失点したが、逃げ切った。

 

 時計の進め方に課題残す(アルナヒヤーンスタジアム)

日本代表 3-2 トルクメニスタン

【得点】

[日] 大迫勇也(56分、60分)、堂安律(71分)

[ト] アルスランテ・アマノフ(26分)、アフメト・アタエフ(79分)

 

 森保ジャパン発足後、初の公式戦。日本は勝ち点3を手にしたものの時計の進め方に課題を残した。

 

 前半、相手は守備に人数を割いたことと日本のサイドアタッカーも中に切り込み過ぎたためゴール前のスペースがつぶれてしまった。司令塔役を担ったMF柴崎岳(ヘタフェ)らが積極的に縦パスを供給したが相手の守備網に引っかかった。

 

 すると前半26分、日本はカウンターから失点を喫した。MFルスラン・ミンガゾフにピッチ中央までボールを運ばれ、日本の右サイドに位置取るアマノフにボールが渡る。右サイドバックのDF酒井宏樹(マルセイユ)、柴崎らが近くにいたものの寄せが甘く、アマノフに右足でミドルシュートを放たれる。強烈なシュートが日本のゴールネットに突き刺さった。確かに素晴らしいミドルシュートではあったものの、酒井、柴崎らがプレッシャーに行けば防げた失点。非常に稚拙な守備から喫した失点だった。

 

 後半に入ると日本はサイドハーフの堂安とMF原口元気(ハノーファー)をタッチラインに近い位置に張らせた。これにより相手ゴール前の“渋滞”が緩和され、日本ペースになった。

 

 11分、大黒柱が仕事をした。左サイドタッチライン付近から原口が仕掛けて、右足で低いクロスを供給する。これをゴール前の大迫が収め、左足でキックフェイント。素早く右足を振りぬきゴール右に流し込んだ。

 

 その4分後にも大迫が輝きを放った。センターサークル付近からDF吉田麻也(サウサンプトン)が左のワイドにポジションを取る原口にロングフィードを送った。原口はペナルティーエリア左サイドに走り込むDF長友佑都(ガラタサライ)にヘッドで落とす。長友は右足アウトサイドで中に折り返すと、ゴール中央でフリーだった大迫が難なく右足で押し込み、日本が逆転した。26分には堂安がペナルティーエリア左から得意の左足のシュートでリードを広げた。

 

 このまま試合をクローズしたかった日本。しかし、つまらないかたちで再び失点を喫した。33分、途中出場のFW北川航也(清水エスパルス)が自陣でアタエフにボールを奪われ、スルーパスを通される。ボールを受けたFWアルティミラト・アンナドゥルディエフにDF槙野智章(浦和レッズ)と吉田の間を割られ、GK権田修一(サガン鳥栖)と1対1に。ドリブルでかわされそうになった権田は相手FWの足をかけてPKを献上した。これをキッカーのアタエフに右隅に決められて1点差に迫られた。

 

 残り時間は約15分。ボールを回し時計の針を進めることがセオリーだが、堂安らアタッカー陣は積極的に仕掛けた。そしてボールを失いカウンターをくらう場面が散見された。結果的に日本が3対2で逃げ切ったものの、ゲームの進め方に課題を残した一戦となった。今までは親善試合だったため点差や残り時間に関係なく仕掛けても問題はなかった。アジアカップは公式戦だ。リードしながらつまらないミスで勝ち点を失うのはもったいない。日本は次節、中3日でオマーン代表(FIFAランキング82位)と対戦する。それまでにこの悪い癖を改善するべきだろう。

 

(文/大木雄貴)