(写真:福田<前列右から3番目>ら4年生を中心にFW・BKが一体となった攻撃が光った)

 12日、第55回全国大学ラグビーフットボール選手権大会決勝が東京・秩父宮ラグビー場で行われ、明治大学が天理大学を22-17で下した。明大は22年ぶり13度目の優勝。天理大は初の優勝に届かなかった。

 

 紫紺のジャージーが22年ぶりの歓喜に沸いた。早稲田大学に続く歴代2位の大学選手権優勝回数を誇る名門・明大が天理大を破った。

 

 東京はこの冬、初雪を観測。肌寒い空気が包む中、秩父宮ラグビー場には2万人を超える観衆が集まった。明大は2年連続、天理大は7年ぶりの決勝進出だ。明大は13度目、天理大は初の大学選手権を狙う。両校は春と夏に練習試合で対戦しており、いずれも天理大が勝利していた。

 

(写真:キックとパスで勝利に貢献した山沢)

 天理大は準決勝で9連覇中の帝京大学をスクラムで圧倒し、V10の夢を砕いた。開始早々、その得意のスクラムで押した。敵陣でマイボールスクラムを獲得すると、明大にプレッシャーをかけてコラプシング(スクラムやモールを故意に崩す反則)を誘った。左サイドの外に蹴り出し、マイボールラインアウトを獲得した。

 

 3分、キャプテンのHO島根一磨(4年)はニアサイドにスロー。すぐにNo.8ファウルア・マキシ(4年)に繋ぐと、マキシも速いテンポでパスを回す。大外でボールを掴んだ島根は、そのままインゴール左隅に飛び込んだ。SO松永拓朗(2年)のコンバージョンキックは決まらなかったものの、天理大が先制に成功した。

 

(写真:突破力のある福田。田中監督は「相手の嫌がるところを突ける」と評価する)

 追う明大は7分に反撃。敵陣深く中央やや右でボールを持ったFB山沢京平(2年)が右サイドへ飛ばしパスを送る。WTB山崎洋之(4年)がインゴール右隅にトライを挙げた。山沢のコンバージョンキックも決まらず、5-5の同点となった。

 

 天理大はスクラムで押していたが、ラインアウトでは苦戦した。「相手のプレッシャーを受けてなかなかうまくいかなかった」(島根)。ノットストレートの反則を犯すなどボールをキープできず、流れを掴むことはできなかった。

 

(写真:スピードとパワーを併せ持つ高橋。父は神戸製鋼でプレーした)

 すると明大は22分、右ラインアウトからSH福田健太(4年)がボールを持つ。ここで福田はWTB高橋汰地(4年)とのサインプレーで天理大のディフェンスラインを打ち破る。高橋は福田と交差するように斜めに走り、ボールを受け取ると完全に抜け出した。右中間にトライを挙げ、山沢のキックも決まり、12-5と勝ち越した。

 

 明大はディフェンスでも力を発揮した。終了間際にトライ寸前のところまで迫られたが、凌ぎ切ってハーフタイムを迎えた。後半に入っても、優位を保つ。

 

 14分にはスクラムを押し返し、コラプシングの反則を誘った。ゴールまで約30mの位置で得たペナルティーでショットを選択。山沢がきっちり決めて10点差にリードを広げると、21分にはHO武井日向(3年)がトライを奪う。山沢のキックも成功し、22-5と差を開いた。

 

(写真:試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、歓喜の輪ができあがった明大)

 初優勝に燃える天理大は猛反撃。29分に島根、35分にCTBシオサイア・フィフィタ(2年)がトライを挙げ、1トライ差まで迫った。終了間際に明大からボールを奪い、大逆転の望みを繋いだ。しかし、最後はノックオンで終戦。明大フィフティーンが歓喜に沸き、天理大フィフティーンは肩を落とした。

 

 ノックオンの直前、スクラムを獲得したのは天理大だった。だがスクラムで押したのは明大。距離を稼ぐことができず、ボールを展開した後にハンドリングエラーが生まれた。明大のキャプテン福田は「僕らのディフェンスから80分間プレッシャーを受け続けた結果だと思います」と胸を張る。天理大の島根は「大事なところで良いスクラムを組めなかった」と唇を噛んだ。

 

(写真:マキシ<右>を中心に馬力にある留学生トリオは明大を大いに苦しめた)

 明大はブレイクダン(球際の攻防)でも優位に立つなど、常に天理大にプレッシャーをかけて、リズムに乗せなかった。「自分たちのテンポを崩すため、ボールに絡んできた。相手の枚数が多く良いアタックができなかった」(島根)。福田が「ディフェンスがカギだと思っていました」と語っていたように、ほぼ明大の狙い通りに試合を運んだ。

 

 昨年の決勝は帝京大に1点差で敗れ、涙を飲んだ。22年前は選手として歓喜の中におり、昨シーズンはヘッドコーチだった田中澄憲監督は「去年は決勝に行って満足した部分があったと思う。この結果は去年から始まっている」と語る。『EXCEED』(超える、上回る)をスローガンに掲げた今シーズン。前年以上に「本気で日本一を目指した」(福田)という明大が王座を奪還した。

 

(文・写真/杉浦泰介)