(写真:トップリーグ参戦以来初のタイトルを獲得したトヨタ自動車)

 19日、ジャパンラグビートップリーグカップ2018-19総合順位決定トーナメント最終日が各地で行われた。東京・秩父宮ラグビー場での決勝はトヨタ自動車ヴェルブリッツがサントリーサンゴリアスを43-34で下した。今季より新設されたカップ戦で、トヨタ自動車が初代王者に輝いた。

 

 今季のトップリーグの締めくくりとなったカップ戦は、リーグ開幕戦で熱戦を繰り広げたトヨタ自動車とサントリーが決勝で対戦した。

 

 16チームが4つのプールに分けられ、各プール1位が上位決定トーナメントに進める。トヨタ自動車はプールD、サントリーはプールAでトップ通過した。若手育成を重視する両チームはともに決勝にコマを進めた。

 

(写真:サントリーのキャプテン流は給水係としてサポート)

 原則として代表スコッドが原則として出場しないカップ戦は外国籍選手枠も撤廃される。サントリーは準決勝と決勝をベンチ入り23人全員を日本出身選手で揃えた。

 

 サントリーの沢木敬介監督は「ダイバーシティの中でこだわりはない。チームが成長するためには全体が成長しなければいけません。そうして選んだメンバーがたまたま日本人だっただけ」と説明した。一方のトヨタ自動車ジェイク・ホワイト監督も「経験を積ませる場」とカップ戦を位置付けている。両チームは4人の新人選手がメンバー入りした。

 

 試合はスタメンに外国籍選手5人を揃えたトヨタ自動車が先制する。前半4分にCTBイェーツ・スティーブンが、6分にはLOジェイソン・ジェンキンスがトライを挙げる。CTBクリントン・スワートはコンバージョンキックを1本成功し、12-0とリードする。

 

(写真:突破力を生かし、トライを演出した田村)

 サントリーの反撃は15分。左サイドに展開すると、SO田村煕が突破した。相手を引き付け、最後は大外のWTB成田秀平にパスを送る。成田はインゴール左隅にトライ。田村のPGで4点差まで迫ると、31分には左のラインアウトモールからHO北出卓也がトライを挙げた。

 

 12-13と逆転されたトヨタ自動車は2分後にひっくり返す。パワフルなアタックで敵陣まで迫ると、最後はSO樺島亮太がパスダミーで相手のスキを突き、トライを奪った。「あそこは狙いました。最初の方はパスばかりしていた。あそこで流れを引き寄せられたかな」と樺島。スワートのコンバージョンキックも決まり、19-13で前半を終了した。

 

 後半に入ると、トヨタ自動車がFWのパワーを生かし、突き放す。3分にジェンキンス、7分にNo.8フェツアニ・ラウタイミ、9分にはFL佐藤穣司のトライ。スワートがキックを2本成功し、この日最大の25点差をつける。

 

 それでもリーグ戦2位のサントリーは食らいつく。「30点離されても自分たちは点を取れるチーム」と田村。途中出場のWTB尾﨑晟也が左サイドを切り裂き、2トライを挙げる。いずれも田村がコンバージョンキックを成功。27-38と詰め寄る。

 

(写真:追い上げるサントリーにトドメを刺すトライを挙げたアプロン)

 しかし、32分にFBジオ・アプロンのトライで、トヨタ自動車が勝負を決めた。43-34でタイムアップ。トヨタ自動車がトップリーグスタート以来初のタイトルを獲得した。ホワイト監督は「このチームにとって非常に大きい」と戴冠を喜び、「チームは強くなっていく」と話した。ゲームキャプテンを務めたアプロンも「勝ち続けて勝つ文化を構築したい」と続いた。

 

(文・写真/杉浦泰介)