(写真:敵陣まで攻め込むもペナルティーでボールを失う場面が目立った)

 23日、スーパーラグビー(SR)の第2節が東京秩父宮ラグビー場で行われ、日本のヒト・コミュニケーションズ サンウルブズがオーストラリアのワラターズに31-32で敗れた。サンウルブズは今季国内初戦を落とし、開幕2連敗。ワラターズは今季初勝利を挙げた。サンウルブズの次節は3月2日、ニュージーランドのチーフスと敵地で戦う。

 

 シンガポールでの開幕戦に負けたサンウルブズは、今季国内初戦を迎えた。W杯イヤーということもあってか秩父宮ラグビー場には1万4000人を超える観客が集まった。

 

 対戦相手のワラターズはFLマイケル・フーバーをはじめ、CTBアダム・アシュリークーパーとPRセコペ・ケプ、オーストラリア代表(愛称ワラビーズ)のキャップ数豊富な選手を揃える強豪だ。SR優勝経験があり、昨季はベスト4に入った。今季初勝利を目指すサンウルブズは先週のシャークス(南アフリカ)戦からPR山下裕史、CTB中村亮土ら先発4人を入れ替えて臨んだ。

 

(写真:先制トライのアシストをはじめ、攻守に貢献した中村)

 先制したのはサンウルブズ。光ったのはディフェンスだ。7分にトライ目前まで迫られたが、WTBセミシ・マシレワの好タックルで弾き出す。8分には自陣で中村がインターセプト。中村は60m以上を独走し、右サイドをフォローしていたWTBゲラード・ファンデンヒーファーにパスを送った。ファンデンヒーファーは悠々トライを挙げる。SOヘイデン・パーカーのコンバージョンキックも決まり、7-0とリードした。

 

 ところが、10分にCTBシェーン・ゲイツのキックパスをターンオーバーされ、CTBカートリー・ビールにトライを許す。SOバーナード・フォーリーにコンバージョンを決められ、同点に追いつかれてしまう。先週はシャークスに“力負け”したサンウルブズは、相手にペースを譲らない。15分には自陣でワラターズボールのスクラムで押し勝つ。ボールを奪って攻撃に繋げると、相手のペナルティーを誘う。ゴール正面で得たPGをパーカーが難なく決めて突き放した。

 

(写真:パーカーの正確なキックで着実に加点した)

 ワラターズのFBイズラエル・フォラウに2トライを奪われ、サンウルブズは再び追いかける展開となった。34分にパーカーのPGで13-17と4点差に迫る。38分にはSH茂野海人がリスタートで素早く右に展開。そこから中央へパスを繋げながらゴールに迫る。最後は中村のパスを受け取ったLOトム・ロウが抜け出してインゴール中央に飛び込んだ。パーカーのコンバージョンも入り、20-17で前半を終えた。

 

 リードして後半を迎えたサンウルブズはパーカーのPGで加点し、6点差をつけた。だが8分、ワラターズの圧力を受けてジリジリと自陣に侵入される。最後はNo.8ジャック・デンプシーにトライをねじ込まれた。フォーリーのコンバージョンが決まり、逆転を許した。22分にはインゴール目前で粘りのディフェンスを見せたものの、最後はペナルティートライ。LOトンプソン・ルークがシンビン(10分間の一時退場)の判定を受けてしまった。

 

(写真:ファンデンヒーファーの2トライ目で場内を沸かせた)

 劣勢の上に1人少ないサンウルブズ。逆転は難しいかと思われたが、30分に敵陣でのマイボールスクラムからのサインプレーで相手守備網を崩す。途中出場のSH内田啓介から右へ展開。中村、パーカーと繋ぎ、最後は内側に走り込んだファンデンヒーファーが右中間にトライを挙げた。パーカーのコンバージョンキックも決まり、1点差に迫った。

 

 押せ押せムードのサンウルブズは試合終了間際に敵陣左サイドでラインアウトを獲得した。集まって話し合うメンバー。パーカーが何かを狙っているのは明らかだった。ラインアウトからボールを素早く繋ぎ、中央のパーカーへ。ボールを受けたパーカーは左足を振り抜き、ドロップゴールを狙った。しかし、この試合、強風を受けながら何度も正確に放たれていた背番号10のキックは最後の最後に狂いが生じた。ゴール左に外れ、30-31のままノーサイドとなった。

 

(写真:アグレッシブなアタックとディフェンスでアピールした茂野)

 完敗だった前節から比べれば、攻守に修正が見られた。2戦続けて指揮を執ったスコット・ハンセンHC代行は「1週間の準備がすごく良かったし、成長も見えた」と語った。「2人目のサポートが良くなっている」とは茂野。2人目の動きの良さにより、攻守において味方を孤立させなかった。キャプテンのCTBマイケル・リトルは「これからどんどん良くなっていくと思う」と手応えを感じている。来週はニュージーランドに乗り込んでのチーフス戦。SRを2度制覇している相手に今季初勝利を目指す。

 

(文・写真/杉浦泰介)